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2012年10月 アーカイブ

2012年10月05日

(No.47)山の上の飼育係~掃除(そうじ)の巻~

飼育係の仕事は掃除に始まり掃除に終わる…と思うほど掃除は飼育係の仕事のほとんどを占(し)めています。水槽(すいそう)の中、水族館の中を美しく保(たも)つため水族館では毎日いろいろな掃除を行っています。
 皆(みな)さんも見た事があるかもしれませんが、水槽には必ずといっていいほど苔(こけ)が生(は)えてきます。この苔掃除は飼育係の基本ともいうべき大切な仕事で、いろいろな道具を使って水槽内を掃除しています%E9%81%93%E5%85%B7.bmp
しかし水族館にはガラスまで手が届(とど)かない水槽や1000トンもある大水槽などがあり、こういった大きな水槽は飼育係がウェットスーツに身を包(つつ)み、空気ボンベを背負(せお)って潜水(せんすい)掃除を行っています。
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その他には、水槽の底に溜(た)まるゴミを取り除く、吸(す)い込(こ)み掃除も大切な仕事です。魚たちに餌(えさ)を与(あた)えると排泄物(はいせつぶつ)や餌かすがでます。こういったものが底に溜まっていくと水がどんどん汚れてしまうため、定期的に取り除くのです。
この他にもアザラシやペンギンなど、魚以外の動物の展示プールの掃除。水族館内のゴミ掃除などたくさんの掃除があります。水族館は、このようにいろいろな掃除を行っている飼育係の努力(どりょく)の結晶(けっしょう)でもあるのです。(冨江 亮輔)

投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:17 |

(No.48)足を無くした魚たち~ウツボ~

現在、地球上に生息する魚類には、もちろん足のある魚はいませんが、魚の持つ胸(むな)鰭(びれ)、腹(はら)鰭(びれ)のそれぞれが、高等な脊椎(せきつい)動物の前足、後足に相当(そうとう)します。
ウナギやアナゴ、ウツボ、ウミヘビ類の仲間を分類学上ウナギ目(もく)魚類と呼んでいます。これらの魚たちには、腹鰭はありません。ウツボ類ではさらに、胸鰭もありません。この理由から、ウナギ目魚類はかつて無足(むそく)類と呼ばれていました。
ウツボ類の特徴は体にはウロコがありません。ほとんどが温帯から熱帯に分布しており、全てが海産です。熱帯地方に分布する種類では色や模様(もよう)の大変に美しいものが多く、ダイバーの写真の好対照(こうたいしょう)になっていますが、歯が鋭(するど)く、危険な魚の一つです。
写真の魚はトラウツボで、上下のあごは湾曲(わんきょく)していて、完全に口を閉じることは出来ません。コケウツボ、ヒダウツボも同様です。日中は岩のわれ目や穴にいて、夜間に活動します。飼育していると、日中は岩陰(かげ)やパイプの中にいて、やはり水槽の照明を消して暗くなると出てきます。自然の海では小魚やエビ・カニ、タコなどを食べています。
一部の地域を除いて食用とはしません。熱帯地方には、有毒である種類もいるようです。
(長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:42 |

(No.49)日本一標高(ひょうこう)が高い海水水族館

皆さんはご存知(ぞんじ)でしょうか?、標高723mに位置するここ箱根園水族館は日本一標高が高い海水水族館なのです。入館してすぐ目の前に飛びこんでくる1000tを超(こ)える魚類大水槽や、サメ水槽、クラゲ水槽、熱帯魚水槽等(とう)、山の中とは思えない美しい水槽が並(なら)んでいます。
それではこの美しい水槽の海水を海から遠く離(はな)れた山の中でどのように維持(いじ)しているのでしょうか。人工海水を利用する水族館もありますが、私たちは天然(てんねん)海水を使用しています。実は、静岡県沼津(ぬまづ)市から1日2回、10tずつの計20tをタンクローリーで片道1時間半かけて毎日輸送(ゆそう)しています。
20tといえば家庭の浴槽(よくそう)でおよそ100杯分(ぱいぶん)に相当(そうとう)します。ものすごい量に思われますが、これは、1000tクラスの水槽を有(ゆう)する当水族館の総(そう)海水量の1~2%に過(す)ぎないのです。ですから、当館は目の前の海から大量の海水を利用できる海辺(うみべ)の水族館と違(ちが)い、使用できる海水は常(つね)に限(かぎ)られています。
この限られた海水を無駄遣(むだづか)いしないために、各水槽の補(ほ)給水(きゅうすい)が多すぎて海水を無駄にしていないか?、逆に少なすぎて水質に影響(えいきょう)を及(およぼ)ぼしていないか?、を気にかけています。また輸送海水は専用(せんよう)の海水受(じゅ)水槽(すいそう)に入れるので、次回の海水が確実(かくじつ)に入るように調整(ちょうせい)をしなくてはなりません。
水族館は普段(ふだん)は見られない生物を見ることができてとても楽しいところです。しかし、その裏(うら)では生物だけでなく、水を扱(あつか)う仕事も行われています。今後水族館に行かれた際(さい)には、このような水のことも考えながらご観覧(かんらん)いただければ、より一層(いっそう)楽しめるかもしれません。(鈴木 智久)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:46 |

(No.50)蓑(みの)を着(き)たカサゴたち~ミノカサゴ~

ミノカサゴを漢字では蓑笠子(かさご)と表します。この仲間たちは、日本では4種類が知られています。いずれも原色の鮮やかな美しい魚で、大きな胸(むな)鰭(びれ)が特徴(とくちょう)です。
この魚の口と大きな胸鰭を広げた姿(すがた)が、まだ日本には傘(かさ)がなかった時代の雨具(あまぐ)である“蓑”をまとったようであると、古くから思われていました。これが、ミノカサゴの名前の由来(ゆらい)です。しかし、英語名では、バタフライ フィッシュと呼ばれています。これは大きく広げた鰭がチョウチョウの羽のようだとの事からです。またライオン フィッシュとも呼ばれていますが、これも大きく広げた鰭がライオンの“タテガミ”のようだからです。
この魚の背(せ)鰭やしり鰭の棘(とげ)に猛毒(もうどく)のあることも、大きな特徴といえます。この棘に刺(さ)されると激痛(げきつう)を受けます。このことより、スコーピオン フィッシュと呼ぶこともあるのですが、これは“サソリ”の意味で毒の棘を持っているからだと思われます。
ミノカサゴに対する日本人の持っているイメージとは大変異(こと)なるようです。この仲間たちは、温帯から熱帯地方の岩礁(がんしょう)やサンゴ礁にすんでいますが、熱帯地方のものは、体色が赤味の強い傾向(けいこう)にあるようです。
飼育していると、大きな口で小魚を飲み込んでしまうので、小型魚類との飼育には注意が必要な魚です。(長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:58 |

(No.51)頑張れ、とうちゃん!! ~オヤニラミ~

今年4月、当館では初となるオヤニラミの稚魚(ちぎょ)が生まれました。
オヤニラミの名前の由来は諸説(しょせつ)ありますが、一説によるとそれは子育てにあるようです。オヤニラミの子育てはオス親が行います。オスは縄張(なわば)り意識が強く、卵を産んだメスさえも縄張りから追い出してしまうほどです。自分の縄張り内に産まれた卵を大切に育て、苦労をかけて守り抜き、外敵に対して睨(にら)みを利(き)かせているその姿からこの名前が付けられたと言われています。
このように攻撃的な性格を持ち、同種間でのケンカも多く見られます。ふ化した稚魚たちもお互いに共食いをすることがあります。稚魚は食欲旺盛で、餌にも勢いよく食らいつきます。当館でもすくすくと育ち、順調に大きくなってきました。しかし、飼育下では元気に育っているオヤニラミですが、自然界ではその数が激減しています。いまでは絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)種(しゅ)に指定されるほどです。これからも父親の愛を応援したいものですね。
(高山詩織)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 15:01 |

(No.52)世界一大きなタコ、怪力の持ち主~ミズダコ~

イカとタコ類は何の仲間だろう?と思う人は多いと思います。体が大変に軟(やわ)らかいことは知っていますね。実は堅(かた)い殻(から)を持った貝の仲間なのです(軟体(なんたい)動物といいます)。永い進化の過程(かてい)で殻が必要なくなってしまい、体の中に入ってしまいました。
タコは不思議な動物で、頭と思っている部分は実は胴(どう)であり、頭は眼(め)のあるところです。つまり、胴と頭の位置が逆転(ぎゃくてん)しているのです。また、足だと思っているのは、腕(うで)なのです。8本持っているのがタコ類、10本がイカ類です。
ミズダコはタコ類の中で世界最大といわれ、腕を広げると3m以上、体重は40kg以上になるものもいます。当館では、アサリ、アジ、イカなどを餌(えさ)に与えていますが、自然界では甲殻(こうかく)類(エビやカニなど)や貝類などを好んで食べており、ケガニやタラバガニといった大きいものや、ウニなどを食べます。ミズダコの天敵(てんてき)は、イルカやアザラシなどの海にすむ哺乳(ほにゅう)類やサメ類などの大型の魚のようですが、大きく成長したものはサメをも食べてしまう程の怪力を持っています。
飼育していると、水槽から脱出(だっしゅつ)することがあります。なにしろ、怪力の持ち主なのでこれを防(ふせ)ぐために、水槽のフタに重量のある、重しを置き、防止対策をしています。また体が軟らかいので、わずかの隙間(すきま)からも脱出するなどの特技も持っています。
(高山詩織・長谷川勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 15:05 |

(No.53)大きくなったら大変身!? ~ナンヨウツバメウオ~

平たい円盤状(えんばんじょう)の体に広めのおでこが目立つ変わった姿(すがた)。マンジュウダイ科に属(ぞく)す魚の特徴(とくちょう)です。その中にツバメウオという魚がいます。世界中の暖かい海や汽水域(きすいいき)に分布していて、日本ではツバメウオ・ナンヨウツバメウオ・ミカズキツバメウオ・アカククリの4種類が見られます。当館ではツバメウオとナンヨウツバメウオとアカククリを展示(てんじ)しています。
ところで、漢字で表すと燕魚(つばめうお)と書きますが、その名前の由来(ゆらい)は幼魚の時代の姿にあるようです。
背鰭(せびれ)と尻(しり)鰭(びれ)が上下に長く伸び、まるでツバメが飛んでいる姿のようだというのが一説(いっせつ)にあります。
しかし、残念ながらツバメの姿でいるのも幼魚の間の数ヶ月ほどだけです。成長するにつれて大変身を遂(と)げる魚の仲間なのです。
ナンヨウツバメウオは伊豆半島の海などでも観察できます。幼魚は茶色くて薄(うす)っぺらでひらひらと海面に漂(ただよ)っていることが多く、一見、枯(か)れ葉にしか見えません(これを擬態(ぎたい)といいます)。未熟(みじゅく)な幼魚は、植物だったり動物だったり、枯れ葉のような、どこにでもあるものを利用して生きているのです。生き物たちは、厳(きび)しい自然界を生き残っていこうとするたくましい力をみせてくれます。今、海水館では色々な成長段階(だんかい)のナンヨウツバメウオを展示しているのでぜひご覧(らん)になって下さい。(野村 俊介)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 15:07 |

2012年10月17日

(No.54)集団行動をとる魚たち~アジ~

アジ科魚類は日本近海から約50種類ほどが知られています。そのほとんどが食用にされ、水産上、重要な種類が多く、特にマアジはその代表格といえます。また、イワシやサンマ、サバなどと共に日本人にはなじみの深い大衆魚ともいえます。
アジ類の大きな特徴は体の両側に稜(りょう)鱗(りん)といって、大きく堅いウロコがあることです。(一部にはない種類もいます)マアジは沖合いにすむものは青味が強く、岸近くにすむものは黄色味が強い傾向(けいこう)にあるようですが、この原因は分っていません。
また、群れで行動する種類も多く、このため定置(ていち)網(あみ)やまき網などで大量に漁獲(ぎょかく)されることもあります。いわゆる“大漁”です。また釣りでの“入れ食い”もこの理由からです。
アジ類の干物は皆さんもよくご存知と思いますが、魚屋さんの店先で、大きなアジの干物を見たことはありますか? 日本産のマアジよりはるかに大きいサイズです。これはヨーロッパでとれたもので、日本に大量に輸入されております。オランダアジ、ノルウェーアジなどと呼ばれています。日本のマアジに大変よく似ていて区別できないほどです。また、オーストラリア、ニュージーランドにも大変に良く似た種類がいます。この重要で美味しい魚も、他の国では、日本国民ほどに好んで食べないようです。      (長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:49 |

(No.55)~ すべての生命の源(みなもと) 海 ~

 皆様、2009年あけましておめでとうございます。新年の凛(りん)とした空気を胸いっぱい吸い込むと、気持ちが引きしまり初心(しょしん)に帰ります。そこで、2009年1月の「山の上から」はすべての生命の源(みなもと)、「海」のお話をしたいと思います。
数十億年前、海に誕生した単細胞(たんさいぼう)が、やがて魚や両棲類(りょうせいるい)になり、後に陸に上がって爬虫類(はちゅうるい)、そして哺乳類(ほにゅうるい)へと進化しました。遠い昔の出来事のように感じますが、実は人間の胎児(たいじ)は母親の体内から出るまでの約10ヶ月の間、生命の歴史を早回しで体験しているのです。
卵子(らんし)と精子(せいし)が結合して受精卵(じゅせいらん)ができる、これが人間誕生の最初です。この段階では、単細胞の生物とほとんど同じ構成をしています。胎児が成長するのも、<羊水(ようすい)>という<水の中>です。いわば、生物発生の頃と同じように、人はいまでも水の中で育っていくのです。事実、受精後
1~2ヵ月の胎児は、肺呼吸(はいこきゅう)ではなく水中でエラ呼吸をし、四肢(しし)には水かきの名残(なごり)も残っています。そして羊水の成分構成をみても、「生命の源は海にあり」ということを知ることができます。なぜならそれは<海水>にきわめて近い性質をしているのです。
詩人・三好達治による「郷愁(きょうしゅう)」と題された詩にこんな一節(いっせつ)があります。「海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏(ふつ)蘭(らん)西人(せいじん)の言葉では、あなたの中に海がある。」
漢字の<海>の中には<母>という字が入っており、フランス語の母、<mère(メール)>の中には海を意味する言葉<mer(メール)>が含まれていて「母の中に海がある」というわけです。言葉を作った先人(せんじん)達は、国は違えど<海>と<母>のつながりを感じとっていたのですね。
(足立 円佳(まどか))

投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:57 |

(No.56)マウスブリーディング ~母の愛~

魚の育児方法は種類によって異なり、大変興味深いものです。中でも、一部のシクリッドの仲間は「マウスブリーディング」と呼ばれる珍(めずら)しい手法をとります。
母親となるメスは、自分で産み落とした卵をすぐに口に含みます。一見、卵を食べてしまったかのようにも見えますが、これが「マウスブリーディング」です。多くの魚は、岩陰(かげ)や水草の陰などに卵を産みますが、これは卵を守るためです。卵やふ化したての稚魚(ちぎょ)は外敵に狙(ねら)われることが多いため、物陰で見つかりにくいように育てていくのです。これに対し、「マウスブリーディング」を行うものは、物陰よりもさらに狙われにくい安全な場所を選びました。それが母親の口の中というわけです。口の中にいれば、外敵から襲(おそ)われる心配はありません。卵がふ化し、稚魚が成長するまで、母親は大事に口の中で育てます。やがて稚魚が大きくなってくると、少しずつ母親の口から出てきますが、一度(ひとたび)身の危険を感じるとすぐさま母親の口へと戻ってしまいます。優しく育てられるその姿に子を思う母親の愛情を感じます。
コミュニケーションが希薄(きはく)になっていると言われる昨今(さっこん)、魚の親子にも学ぶべき点はあるのかもしれませんね。
(今城悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:58 |

(No.57)カクレクマノミ

箱根園水族館に今年より新たな仲間が入りました。皆(みな)さんもご存知(ぞんじ)の映画で有名になったカクレクマノミです。大きくなっても約5~6cmにしかならない小さな魚です。カクレクマノミは奄(あま)美(み)大島以南、西部太平洋のサンゴ礁(しょう)に生息しています。そのサンゴ礁でカクレクマノミはイソギンチャクと共生(きょうせい)しています。イソギンチャクの中からクマノミが顔を出している姿が良く見られますが、それが共生です。それぞれの外敵(がいてき)からお互(たが)いを守りあっているのです。ではなぜクマノミはイソギンチャクに触(ふ)れても平気なのでしょう? 他の魚はイソギンチャクの触手(しょくしゅ)に触れると触手の毒のある刺胞(しほう)に刺(さ)されますが、クマノミたちは体表から出る粘液(ねんえき)がイソギンチャクと同質(どうしつ)なため、刺胞が刺さらないようになっているのです。
自然界でクマノミたちはそれぞれに共生するイソギンチャクが決まっているようですが、飼育下ではあまり選(よ)り好(ごの)みはしないと言われています。
(冨江 亮輔)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:17 |

(No.58)「温泉アザラシ・ビリー君」登場

既(すで)に皆(みな)さん新聞やテレビ、インターネット(世界配信もされています)等で見たり聞いたりした方も多いと思います。ここではビリー君が温泉芸(げい)を覚えるまでの一部を紹介(しょうかい)します。
 まず、なぜ温泉芸を始めたのか?、実はアザラシ達が暮(く)らすプールは真冬になると外気との温度差のため湯気(ゆげ)が立のぼるのです。そんな中で水面から顔を出して目を細める姿が温泉につかっているようなので温泉芸を思いつきました。
 今では簡単(かんたん)に桶(おけ)を持ち、手(て)拭(ぬぐ)いを載(の)せていますが、ここまでくるのには苦労の連続(れんぞく)でした。手で物を持つことを知らなかったので、物を持つ訓練から始めました。最初は小さいボールを持つことから始め、徐々(じょじょ)に大きいボールにチャレンジしました。小さいボールはすぐに持てるようになりましたが、大きいボールは難(むずか)しいようで、持とうとすると前脚(まえあし)から逃げてしまいます。根気よく訓練を続けることでようやくボールを持つことができました。そして、いよいよ桶です。
 桶を持つ訓練を始めると、ボールと同じように持とうとしましたが、桶はさらに大きく、形も違(ちが)うために、桶の淵(ふち)に前脚が当たり、持つことができません。しかし、訓練を日々重ね、前脚を大きく広げて、桶を横から持つことができました。そして、ついに温泉芸ができるようになりました。
いかがでしょうか?、これが「温泉アザラシ・ビリー君」登場までの訓練の一部です。現在はさらなる特訓(とっくん)をつんでいます。皆さんぜひバイカルアザラシショーでのビリー君の温泉芸を見てくださいね。
(鈴木智久)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:21 |

(No.59)タマカイ

タマカイは硬骨(こうこつ)魚類中でもっとも大きいとされる魚です。インド洋から太平洋にかけて広く分布し、いつも
サンゴ礁(しょう)や岩礁のくぼみに隠(かく)れて生活しています。餌は口に入るものはなんでも食べてしまい、なかには
小型のサメやウミガメの子供なども食べているようです。
当館の大水槽にいるタマカイは約1.5メートル、その大きな体はもちろん、餌を水ごと吸い込む大きな口も間近でみると、かなりの迫力(はくりょく)があります。大きな水槽のなかでもひときわ目立つ存在です。
今までに発見された個体のなかには、体長3メートル以上、体重400キロという記録もあり、オセアニアの
一部の地域では、ダイバーを丸飲みしてしまう「人喰いハタ」とおそれられていますが、実際にタマカイが人を
食べたことはないようです。
大水槽にいるタマカイは灰色の体をしており地味ですが、幼魚の頃は黄色と黒のまだら模様をしています。
当館の熱帯魚水槽にはタマカイの幼魚も展示していますのでぜひ、探してみてください。        (高山 詩織)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:24 |

(No.60)夢の!?一夫多妻制(いっぷたさいせい) ~サクラダイ~

多くの生き物には、オスとメスがいます。魚のそれは実に様々な特徴を持った面白いものです。
サクラダイのオスとメスは一目で解(わか)るほどはっきりとしています。メスはオレンジ色で、オスは赤色が濃いです。さらに、オスには名前の由来となる綺麗(きれい)な桜の花びら模様があるのが特徴です。しかし、サクラダイの最大の特徴は、オスにもメスにも変化できるということです。
 サクラダイの社会では一夫多妻制の群れが作られます。一つのオスが多くのメスを獲得(かくとく)するこの制度では、オス同士の抗争(こうそう)がつき物です。この時、優位にたつのが体の大きなオスです。体の大きなオスが多くのメスを独占(どくせん)することとなり、体の小さなオスは繁殖(はんしょく)のチャンスを失います。これでは体の小さなオスは自(みずか)らの子孫を残すことが出来ません。そこでサクラダイが選んだ手段が、性(せい)転換(てんかん)です。体の小さいうちはオスとして戦うよりも、メスとして卵を産む方が子孫を残すには効率的です。さらに体が大きくなってからオスへと性転換すれば、他の多くのメスを独占することができます。これが、彼らにとって最も効率的で、合理的な繁殖方法なのです。
 自らの子孫を残すため、オスにもメスにもなる彼らの繁殖方法には驚(おどろ)かされますが、こうして永い年月の中、進化を続けてきたと考えると生命の素晴らしさを感じさせられます。
(今城 悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:26 |

About 2012年10月

2012年10月にブログ「箱根園水族館 山の上から」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

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