2012年10月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

« (No.54)集団行動をとる魚たち~アジ~ | メイン | (No.56)マウスブリーディング ~母の愛~ »

(No.55)~ すべての生命の源(みなもと) 海 ~

 皆様、2009年あけましておめでとうございます。新年の凛(りん)とした空気を胸いっぱい吸い込むと、気持ちが引きしまり初心(しょしん)に帰ります。そこで、2009年1月の「山の上から」はすべての生命の源(みなもと)、「海」のお話をしたいと思います。
数十億年前、海に誕生した単細胞(たんさいぼう)が、やがて魚や両棲類(りょうせいるい)になり、後に陸に上がって爬虫類(はちゅうるい)、そして哺乳類(ほにゅうるい)へと進化しました。遠い昔の出来事のように感じますが、実は人間の胎児(たいじ)は母親の体内から出るまでの約10ヶ月の間、生命の歴史を早回しで体験しているのです。
卵子(らんし)と精子(せいし)が結合して受精卵(じゅせいらん)ができる、これが人間誕生の最初です。この段階では、単細胞の生物とほとんど同じ構成をしています。胎児が成長するのも、<羊水(ようすい)>という<水の中>です。いわば、生物発生の頃と同じように、人はいまでも水の中で育っていくのです。事実、受精後
1~2ヵ月の胎児は、肺呼吸(はいこきゅう)ではなく水中でエラ呼吸をし、四肢(しし)には水かきの名残(なごり)も残っています。そして羊水の成分構成をみても、「生命の源は海にあり」ということを知ることができます。なぜならそれは<海水>にきわめて近い性質をしているのです。
詩人・三好達治による「郷愁(きょうしゅう)」と題された詩にこんな一節(いっせつ)があります。「海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏(ふつ)蘭(らん)西人(せいじん)の言葉では、あなたの中に海がある。」
漢字の<海>の中には<母>という字が入っており、フランス語の母、<mère(メール)>の中には海を意味する言葉<mer(メール)>が含まれていて「母の中に海がある」というわけです。言葉を作った先人(せんじん)達は、国は違えど<海>と<母>のつながりを感じとっていたのですね。
(足立 円佳(まどか))

投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:57 |