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2007年05月22日

(Vol.1)子供を生む魚-タツノオトシゴたち

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ウィーディーシードラゴン
英名 Weedy seadragon
学名 Phyllopteryx taeniolatus

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ポットベリーシーホース
英名 Potbellied seahorse
学名 Hippocampus abdominalis

タツノオトシゴ類やヨウジウオ類の産卵習性は、たいへん変わっています。オスの腹部にある「育児のう」という袋状の器官があり、この中にメスが卵を産みつけます。
この中で卵から孵化(ふか)し、成長した子供は親とほぼ同じ姿で体外に放出されます。
メスが産卵することに変わりはありませんが、この事実を理解できなかった知識の乏しい時代では、当然子供を産む個体は全てメスであると思われていました。
しかし、オスが卵を育てるというメカニズムが判明するまでは、とても不思議な動物の一つに数えられていました。またその形態から、魚類ではなく、「虫」の仲間だと思われていた時代もありました。
日本人とは付き合いが古く、平安時代に「安産」のお守りとされていた記録があります。
当館では、ポットベリーシーホース、イバラタツ、リーフィーシードラゴン、ウィーディーシードラゴンなどの飼育経験がありますが、このうちポットベリーシーホースが2000年12月に初めて繁殖しました。
一度の産卵で400尾程産まれます。
約4ヶ月で大人になり、2~3年で全長28cm程に成長します。
オーストラリア南部・ニュージーランドに分布し、低水温を好みます。

館長:長谷川 勇司

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月22日 19:21 |

(Vol.3)サメ-歯でわかるサメの進化

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ネズミザメの歯 と サメの歯の化石

地球の約7割を占める海には、およそ380種類のサメが生息しているといわれています。サメの祖先たちは、約4億年前(デボン紀)の海に出現し、様々な適応(てきおう)放散(ほうさん)を繰り返しながら厳しい生存競争を耐え現代まで生き抜いてきました。そして、その多様性に富んだ生態や他の魚類には見られない進化をしてきました。サメの歯は鱗(うろこ)が進化したものだということをご存知でしょうか?
サメの鱗(うろこ)は、楯鱗(じゅんりん)と呼ばれており、エナメル質、象牙(ぞうげ)質、骨(こつ)様(よう)組織で造られています。この構造は歯と全く同じで、表皮を作る上皮(じょうひ)細胞(さいぼう)と骨や筋肉などを作る間葉(かんよう)細胞(さいぼう)が向かい合って、それらの間にエナメル質と象牙質が造られているのです。
口ができるときに全身を包んでいた楯鱗(じゅんりん)が口の中に入っていき長い年月の末、 顎(あご)の上の楯鱗(じゅんりん)が餌を引っ掛ける役目を果すようになりました。
その結果、鱗(うろこ)が大きく発達し歯になったと言われています。そのため、サメ の鱗(うろこ)の別名を 「皮歯(ひし)」といいます。
当館には現在7種類のサメが展示されていますが、他の魚類よりもその歴史が古く、 未だその生態に多くの謎をもつサメをゆっくり観察してみてはいかがですか?

飼育係:水野 晋吉

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月22日 19:36 |

(Vol.5)海水館の大水槽

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※大水槽の屋上(とても大きいのがわかりますね)

水族館に入って、まず目をひくのが大水槽でしょう。ここは、水量が約1200トンあります。と言っても、なかなかイメージが浮かばないかもしれません。 例えば10トンの大型タンクローリーで120台、2リットルのペットボトルだと60万本、仮にこれを100人で毎日1本ずつ飲んでも約16年5ヶ月かかります。すごい量ですね。
さて、壁にある丸い窓のうち、内側にくぼんだものが4ヶ所あります。その中に体を入れて上を見て下さい。空が見えます。つまり、この水槽には屋根がないという事です。当然、雨や雪はそのまま入ります。風の強い日、春は花びら、秋は枯れ葉が水面 に運ばれて自然界と同じ条件で、魚たちも生息しています。
また、天気の良い日には直射日光が入りますが、これがたいへんきれいです。 もちろん、電気による照明も付いていますが、太陽の光にはかないません。刻々と光の角度が変わり、それとともに水槽の表情も変化してゆきます。 特に午後3時以降、観覧席に座って西日が射した状態を眺めるのがオススメです。水族館で魚をじっくりと見るのは普通ですが、水槽全体を風景としてゆったりと眺めるのも、 なかなか面白いものですよ。

飼育係:下山 哲男

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月22日 19:44 |

(Vol.6)6種類のペンギンたち

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キングペンギン
英名 King Penguin
学名 Aptenodytes patagonicus

現在箱根園水族館では、6種34羽のペンギンを飼育しています。 この6種の違いに気づくお客様は意外と少ないようです。まず、当館で最も大きな体型のキングペンギン。 次に大きいのは、目の上から頭にかけて白い模様の入ったジェンツーペンギン。頭部に飾り羽(かざばね)があるのは、マカロニペンギンとイワトビペンギン。 最も多いのがケープペンギンです。ケープペンギンに似ているけれど、胸の模様が少し違うのがマゼランペンギンです。
どのペンギンも体はずんぐりしており、陸上ではよちよち歩きをしている事から、 ペンギンに対して可愛いイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。
しかし、水中のペンギンに目を向けてみてください。そこには美しくかつ素早く水中を飛び回る、可愛いと言うよりむしろ格好良いペンギンの姿があります。また、餌の時間になると飼育員のもとへ寄って来たり、 飼育員の後ろをついて回るなどの何とも愛くるしい姿も見せてくれます。それぞれの種類や個体によって性格も様々で、本来気が強いと言われるイワトビペンギンですが、 当館の場合、何ともマイペースなものです。好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)で遊びが大好きなジェンツーペンギンや気の弱いキングペンギン等、見ていて飽きの来ない愉快(ゆかい)なペンギンたちが皆様をお待ちしております。

飼育係:今城 悠二

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月22日 19:46 |

2007年05月23日

(Vol.10)オウムガイ-生きた化石

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オウムガイ
英名 Chambered nautilus
学名 Nautilus pompilius

「生きた化石」という言葉は1859年にチャールズ・ダーウィンによって初めて用いられたと言われています。 「生きた化石」と呼ばれている生物は様々ですが、皆さんも良くご存知のオウムガイもその1つです。当館では、現在7個体のオウムガイを飼育展示中です。オウムガイの貝殻を見て貝の仲間と思われる方も多いと思いますが、頭足類と呼ばれるイカやタコと同じグループに属します。多くの頭足類は長い年月の中、適応放散を繰り返し、貝殻を必要としない体へと進化を遂げました。
しかし、オウムガイの仲間は、適応放散を繰り返しながらもその姿を大きく変えることなく現在までその子孫を残してきました。ではなぜオウムガイの仲間は貝殻を持ったままなのでしょうか?その理由としては、生存競争や環境の変化が少ない深海域に生息場所を移したことによって貝殻を退化させる必要がなくなった為だと言われています。
オウムガイの名前の由来ですが、殻の内巻きの黒い部分がオウムの嘴に似ていると言う説や、発達した顎(カラストンビ)の形がオウムの嘴に似ている説などがあります。また、学名のNautilus(ノーチラス)はギリシア語で水夫を意味します。アメリカの原子力潜水艦やジュール・ヴェルヌ原作の「海底2万マイル」という小説に出てくる潜水艦にもこの名前は使われています。


飼育係:水野 晋吉

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月23日 11:00 |

(Vol.12)チンアナゴ-展示水槽の裏側

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チンアナゴ
英名 Spottedgardeneel
学名 Heteroconger hassi

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チンアナゴはアナゴ科の仲間です。細かいパウダー状の底砂に巣穴を形成し、体の半分は巣穴の中に入って暮らします。自然界では水深7m~45m程の比較的流れの強い海底に生息していて、流れに乗って漂ってきたプランクトンなどを食べます。当館でもアルテミアと呼ばれるプランクトンの一種を好んで食べています。
チンアナゴの展示においての工夫する点は、彼らの習性にあります。彼らは前にも述べた通り、流れに乗ってきたプランクトンを食べます。その際彼らは巣穴から出ることは無く、流れてきたプランクトンの方向を向きそのまま捕食します。その為、彼らは水の流れてくる方向を向くという習性があるのです。この習性を利用して、お客様側に彼らが正面を向くような工夫をしています。
次に、彼らを飼育する上で最も大きな問題が、彼らの警戒心の強さです。通常人間が近づくと、すぐに巣穴の中に隠れてしまいます。では、何故展示されているチンアナゴは、巣穴に隠れずその姿を見せてくれるのでしょうか。実は、チンアナゴの水槽にはマジックミラーが貼ってあるのです。その為、お客様側からチンアナゴは見えますが、チンアナゴ側からは、お客様の姿は全く見えなくなり、警戒されずに正面から彼らの姿をはっきり見ることができるのです。しかし、前以外にはマジックミラーが無い為、せっかく飼育員が餌を与えに来ても、途端に巣穴の中に逃げ込んでしまいます。少し臆病すぎるかな…

飼育係:今城 悠二

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月23日 11:49 |

(Vol.14)ヨスジフエダイ-息を呑む美しい魚

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ヨスジフエダイ
英名 Blue striped snapper
学名 Lutjanus kasmira

フエダイの仲間には、体側に線のある魚が多いようです。ヨスジフエダイの名前の由来は、体に4本の青色の線があるからです。そのほかにも、ロクセン、キスジ、キンセンなどの名前のつく魚もいます。
また、幼魚と成魚とでは、体の模様が異なり、とても同じ種類と思われないものもいます。ヨスジフエダイは成長すると、頭部の前半が赤くなり、大変に美しくなります。この魚は常に群れを作っていて、移動する姿はまさに息を呑む美しさです。自然の海でも常に群れを作っています。
大きな水槽を持っている水族館ではよく飼われていますが、それはまずきれいで、常に群れを作っているので、多くの観客の目を楽しませるのにふさわしいからでしょう。フエダイ類の多くは南日本から熱帯地方に分布します。ほとんどが食用にされ水産上重要な種類が多くいますが、熱帯地方では、中毒を起こすものもいますので食用にするには注意が必要です。


飼育係:長谷川 勇司

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月23日 12:51 |

(Vol.15)サメの交接器

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サメの交接器(オス)

サメの仲間は、すべて体内受精で繁殖します。そのためオスには交尾のための交接器が腹鰭(ハラビレ)の部分に二つみられ、オス、メスの区別は簡単です。交尾のときはオスがメスの胸鰭(ムナビレ)や体に噛み付いて離さず同時に体を接触させ、左右どちらか一つの交接器をメスの総排泄腔へ挿入し、腹部の貯水のうに取り込んだ海水と一緒に精子を送り込み受精します。ではどうして交接器が二つあるのでしょうか?いくつかの説がありますが単に腹鰭がそのまま変化したままという説、オス、メスそれぞれに右利き左利きがあるという説、交尾のチャンスはそんなに多くは無いためオスとメスが出会ったときに確実に交尾するためだという説。当館でも交尾はよく観察されますが、自然界の交尾に比べトラブルが多く、オスがメスに噛み付くと時にはメスに致命傷を与えてしまう場合があります。そのためオス、メスを隔離しなくてはならないこともあります。
サメの交尾は命がけなのです。


飼育係:深田 鉄夫

投稿者: スタッフ 日時: 2007年05月23日 12:58 |

2007年06月01日

(No.21)植物? 動物?~ニッポンウミシダ~

棘皮(きょくひ)動物(どうぶつ)(ウニ、ヒトデ、ナマコ等)の仲間で最も原始的なグループです。
陸上植物のシダにそっくりなためにこの名があり体色は変化に富(と)んでいます。
ニッポンウミシダは日本固有(こゆう)種(しゅ)で、本州中部から九州までの広い範囲の潮(しお)の流れの速い場所に多く生息しています。
腕(うで)の両側には粘着性(ねんちゃくせい)の羽のような多数の小突起(しょうとっき)が生えており、網(あみ)の目のように海中を漂(ただよ)うプランクトンをすくい取り中央にある口までベルトコンベアーに乗るように運ばれていきます。
普段は海底の岩に体の下にある巻(かん)枝(し)と呼ばれる器官でつかまっていますが、周囲の環境が悪くなったりすると腕を交互(こうご)に振って泳ぐように体を移動することもあります。
コマチガニやコマチコシオリエビなどの甲殻類(こうかくるい)が腕の付近に潜(ひそ)んでいることが多くウミシダの捕まえた餌(えさ)を横取りしたり、ウミシダの体液を栄養源としたりして共生(きょうせい)していることも知られています。
展示飼育している個体は当館の職員が駿(する)河(が)湾(わん)で潜水(せんすい)採集(さいしゅう)しました。(深田 鉄夫)

投稿者: スタッフ 日時: 2007年06月01日 08:06 |

2007年08月01日

(No.23)ホシエイ

箱根園水族館に入って最初に目につく水量1255トンの大水槽。その中で悠々(ゆうゆう)と泳いでいる大きなエイは、ホシエイといいます。黒い背面に白い星のような斑点(はんてん)がある事からその名前が付きました。日本近海に生息し、全長1.8m、体重100kgほどになる大型のエイです。
エイは口が腹面についているため、海底に落ちた餌(えさ)しか食べられません。そのため当館では、バケツに餌を入れてそれを底まで沈(しず)めて与えています。たまに潜水したダイバーが直接餌を与える事もあるのですが、そのため掃除をしにダイバーが入った時も餌だと思って寄って来る場合があります。その時気をつけなければならないのがエイの尾鰭(おびれ)に付いている棘(とげ)です。30cmほどの棘には毒があり、刺されると激(はげ)しく痛(いた)みます。この棘は、サメの歯と同じで古くなれば新しい棘が生えてきます。(冨江 亮輔)

投稿者: スタッフ 日時: 2007年08月01日 19:37 |

2007年10月01日

(No.26)目の大きなカサゴの仲間 ~目張・・・メバル~

メバルは漢字で「目張(めばる)」と表します。和名の由来は目が大きく、見張(みは)っているように見えることがその理由といわれています。しかし英名ではロックフィッシュと呼ばれ、石のような魚との意味です。
メバルの仲間は日本近海に約30種類が分布しています。下の写真は、ウスメバルで、当水族館が7年前に北陸の水族館より譲(ゆず)ってもらったものです。当時に比べると大きく成長しました。メバルの仲間の多くは、子供を産むことが大きな特徴(とくちょう)です。多くの魚類は卵生ですが、メバル、カサゴ類は親と同じ姿をした子供を産みます。ウスメバルの1cm前後の子供たちは、流れ藻(も)(海藻(かいそう)の切れたもの)に付いて海面を漂(ただよ)っていますが、4~5cmほどになると、離れて海底で生活するようになります。
メバル類はあまり泳ぐことはなく、いつも水槽の中層(ちゅうそう)で頭を上にして、静止していることが多く、餌(えさ)を与えると素早く捕(と)らえて、また元の位置に戻ります。この独特(どくとく)のポーズは自然の海でも同じようです。釣り人に人気の高いメバルは生息場所により、体色が異なります。アカメバルやクロメバルと呼ばれ、これらが同じ種類か別種類かの論議(ろんぎ)が以前よりあり、最近の生化学的研究により今では3種に分けられるようになりました。(長谷川勇司)

投稿者: スタッフ 日時: 2007年10月01日 18:44 |

2007年11月01日

(No.27)ミズクラゲ・・・ クラゲの一生

みなさんはクラゲと聞くと、どんな事を連想(れんそう)しますか?海中をプカプカと浮かんでいる姿や、なかには海水浴でクラゲに刺されて、悲惨(ひさん)な目にあったときのことを思い出す方もいるはずです。けれどもみなさんが遭遇(そうぐう)した姿はクラゲの一生のほんのひとこまに過ぎないのです。
それはクラゲ世代とポリプ世代の2世代があります。雄のクラゲの精子が海中に放たれ雌のクラゲに取り込まれ受精(じゅせい)した卵が繊毛(せんもう)を持つプラヌラと呼ばれるものに変化し泳ぎだします。ここまでを有性生殖(ゆうせいせいしょく)といいます。やがて海底(かいてい)の岩や海藻(かいそう)、貝の殻(から)などに着床(ちゃくしょう)したプラヌラは次にポリプと呼ばれる16本の触手(しょくしゅ)を持ったイソギンチャクに良く似た姿に変化し、固着(こちゃく)生活(せいかつ)に移ります。ポリプは分裂やストロンとよばれる走(そう)根(こん)をのばし、次々に自らの分身(クローン)を増やします。これを無性(むせい)生殖(せいしょく)といいます。 ポリプは環境(かんきょう)が変わらないとポリプのままですが、春先に水温15℃前後になるとしだいにくびれが生じ、松かさが重なったような形になり(横(おう)分裂(ぶんれつ))、やがて一枚ずつ離れ始めます。これをストロビレーションといい、離れたものはクラゲの幼生でエフィラと呼ばれ海中を泳ぎだします。エフィラには雌雄(しゆう)があり、茶褐色で八枚の縁(えん)弁(べん)があり、プランクトンを捕らえ成長します。1~2週間経過(けいか)するとしだいに乳白色に変色したメテフィラになり、さらに1~2週間で稚クラゲに成長し、半年から1年かけて大人のクラゲになります。
海中をプカプカのんびり漂(ただよ)うクラゲにも複雑(ふくざつ)で不思議な一生があるのです。(深田 鉄夫)
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投稿者: スタッフ 日時: 2007年11月01日 18:52 |

2007年12月01日

(No.28)究極の脱力系~ワモンアザラシのチーコ~

箱根園水族館の人気者といえば、ワモンアザラシのチーコちゃんです。チーコは今年で推定(すいてい)22歳のメスです。そんなチーコちゃんの一日をご紹介します。
<朝の水浴びと睡眠(すいみん)>
朝目覚(ざ)めると、プールの中でも足の付くような浅瀬でピチャピチャと水浴びをします。しばらくすると一泳ぎに入りますが、すぐに上がってきます。ひたすら陸場(おかば)で睡眠です。さっきまで寝ていたのでは・・・?
<お食事>
餌(えさ)を持った飼育員を見つけるや否(いな)や真っ先に駆け寄(かよ)り、餌の催促(さいそく)が始まります。口はクチャクチャ鳴らして涎(よだれ)まみれ、鼻息はフガフガと興奮気味です。
<食後、そして睡眠>
お腹がいっぱいになると、ゴロンと転がりながらプールの中に入っていきます。歩くことさえ面倒(めんどう)なのか・・・。しばらくして、浅瀬の岩場で背中をボリボリとかいている姿は休日の父親を思わせる程の脱力感です。真夏にも関らず日中も陸場で寝て過ごすチーコ。アザラシは暑さに弱いはずなのですが・・・。暑くないのかなという飼育員の心配をよそに惰眠(だみん)を貪(むさぼ)ります。泳ぐより、食べるより、寝ることが大好きなマイペースなチーコちゃんは最高の癒(いや)し系です。(今城悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2007年12月01日 19:05 |

2008年02月01日

(No.30)海底巨大ロボット?タカアシガニ

水槽内のタカアシガニたちを見ていると、まるでロボットが動いているように見えてこないで しょうか。このぎこちない動きは、甲殻類(こうかくるい)であるカニの仲間特有の動きです。無骨(ぶこつ)な体をしたカニたちは、人間のようなホネはありません。そのかわり、体を支えるための堅(かた)いコウラを身にまとい自分の身を守っています。このコウラの重さで動きが鈍(にぶ)くなりロボットのような動きに見えるのです。
カニの仲間でもタカアシガニは、甲(こう)長(ちょう)35cm、甲(こう)幅(ふく)30cm。雄(おす)の個体は、はさみ脚(あし)を左右に広げると3m以上に成長する世界最大の甲殻類(こうかくるい)なのです。ですから、箱根園水族館で飼育している個体は、大きく見えますがまだまだ成長途中なのです。
日本では岩手県から九州までの太平洋側に生息し、普段(ふだん)は水深150~300m程の海底にすんでいます。最近では、駿河(するが)湾(わん)を中心に房総(ぼうそう)半島(はんとう)沖や相模(さがみ)湾(わん)、紀伊(きい)半島(はんとう)沖などでの底引き網やカニ籠(かご)漁での漁獲があり、駿河(するが)湾(わん)近港の料理屋さんなどで食べることができます。しかし、皆さんご存知のタラバガニやズワイガニに比べると一般家庭の食卓(しょくたく)に並ぶことは少ないようです。その理由は、巨大なカニを調理するための特別な機材が必要となるからです。タカアシガニは、ほかのカニに比べ水分が多いため茹(ゆ)でるのではなく蒸(む)して調理します。蒸(む)すことで適度に水分が抜けて美味しくなります。機会があれば、実際に食べてみたいものですね。(小俣 勇気)
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年02月01日 19:21 |

2008年04月01日

(No.32)トラフザメ

海水館の大水槽で行われている水中ショーの中で、ホシエイと並んで主役をつとめてくれているのが長く伸びた尾と、つぶらな瞳(ひとみ)が特徴(とくちょう)のトラフザメです。
 日本近海では、南西(なんせい)諸島(しょとう)のサンゴ礁(しょう)などに生息(せいそく)しており、成長すると3.5mくらいになります。名前の由来となった虎斑(とらふ)模様(もよう)とは“トラのような黄と黒のしま模様”のことです。しかしトラフザメはしま模様ではなく黄色地(きいろじ)に小さな黒い無数の斑点(はんてん)でむしろ「ヒョウ柄(がら)」に近いです。なぜ「ヒョウ柄」なのに「トラ」という名前がついたのでしょうか?実は幼魚(ようぎょ)の時はトラのようなしま模様をしています。それが成長とともにヒョウのような模様に変化していくのです。つまり、幼魚の時の模様が名前になったというわけです。「トラ」という名前はついていますが、性格はおとなしく人を襲(おそ)うことはありません。かわいらしいおちょぼ口で貝、カニ、エビなどを食べています。(足立円佳)
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年04月01日 10:02 |

2008年05月01日

(No.33)クラゲの毒針(どくばり)-ミクロの銛(もり) 刺胞(しほう)

クラゲは刺す(さす)とイメージしている人は多く、その毒針はジェリー状の体を外敵(がいてき)から身を守る手段(しゅだん)として、また獲物(えもの)を捕(とら)らえるための武器(ぶき)として使います。ではクラゲはどのように刺すのでしょうか?クラゲの傘(かさ)の周(まわ)りには多くの触手(しょくしゅ)があります。その触手には刺胞が内蔵(ないぞう)されていて、触(ふ)れたりするとその刺激(しげき)で中から毒針(どくばり)が発射(はっしゃ)されます。毒の強さは種類(しゅるい)によって違(ちが)いますが、もっとも強い種類(しゅるい)はオーストラリアに生息(せいそく)しているクラゲで何万倍にも希釈(きしゃく)した毒液(どくえき)をマウスに投与(とうよ)したら数分で死亡するそうです。日本ではカツオノエボシやアカクラゲ、ハブクラゲが危険(きけん)なクラゲとして知られていて毎年被害(ひがい)が報告(ほうこく)されます。クラゲにさされると個人差や種類により違いますが、水腫(すいしゅ)、発熱(はつねつ)、重症(じゅうしょう)になると※アナフィラキシー反応、呼吸(こきゅう)困難(こんなん)、意識(いしき)不明(ふめい)、死亡(しぼう)した例などがあります。
ではクラゲに刺されないためにはどのような注意(ちゅうい)をすればいいのでしょうか?まず基本的(きほんてき)にはクラゲの発生(はっせい)海域(かいいき)では泳がないほうが懸命(けんめい)です。そして素手(すで)では絶対に触(さわ)らないこと、運悪く刺されてしまったら応急(おうきゅう)処置(しょち)として刺されたところに触手が付着していたら速やかに海水で洗いながら割(わ)り箸(ばし)などで間接的(かんせつてき)に取り除くこと。氷などで患部(かんぶ)を冷やすことで血の循環(じゅんかん)を弱め毒の吸収(きゅうしゅう)、拡散(かくさん)を抑(おさ)える。抗(こう)ヒスタミン剤(ざい)やステロイド剤を塗布(とふ)するなどです。そしてできるだけ速やかに病院で処置(しょち)をしてください。
私たち飼育係(しいくがかり)は水中作業時でクラゲに刺されることが多々(たた)ありますが、痛(いた)痒い(かゆ)腕(うで)を見るたびに、これも飼育係の宿命(しゅくめい)とあきらめている今日この頃です。( 深田 鉄夫 )
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年05月01日 10:28 |

2008年06月01日

(No.34)相棒、ヒデヨシ ~マカロニペンギン~

私が本当の意味でペンギンに出会ったのは水族館に勤(つと)めてからの事です。出会うまでの印象は、可愛らしい水族館の人気者。しかし出会ってからは一変、なんて厄介(やっかい)な動物だと思うようになるのです。毎日たくさんのウンチをするし、臭いはきついし、餌(えさ)を与えても懐(なつ)かずに吠(ほ)えてきます。そんなペンギンの本性には少々がっかりしたものです。それでも根気良く飼育を続けると、1羽のペンギンが懐くようになりました。彼はマカロニペンギンのNo.7。当館のペンギンに愛称はありませんが、個人的に名前をつけました。ヒデヨシです。ヒデヨシは餌の時間になると私の足元へ寄ってきて餌をねだります。水族館の外へペンギンを連れて出す時はいつもヒデヨシを抱きかかえていました。始めは嫌がりましたが、そのうち私の腕の中で落ち着くようになりました。本当に嬉しかったものです。しかし、普段のヒデヨシは素っ気無いものです。マカロニペンギンのオスは特に縄張(なわば)り意識が強く、自分の巣に近づく者を非常に嫌います。そのため、いくら慣れたとはいえ、この時ばかりは敵意をむき出しにします。ヒデヨシが私に懐く時、それは餌の時間。寒い外に出た時。お腹が減ったから寄ってきて、寒い時は私の腕の中で寒さをしのぐのです。「現金なやつめ。」そう思いながらも私はこの気ままで可愛らしいヒデヨシを憎めずに溺愛(できあい)してしまうのです。
今では、他の個体も私に慣れて、3月11日までの土日祝日にはマカロニペンギンやイワトビペンギンたちが雪遊び広場の皆さんの前へ遊びに行っております。(今城悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年06月01日 10:31 |

2008年08月01日

(No.36)チョウチョウウオの仲間たち

現在チョウチョウウオの仲間は、世界に120種類ほど生息し、そのうち日本では50種類ほど確認されています。この仲間の多くは、熱帯のサンゴ礁(しょう)域に生息していますが、中には水深300mの深海にすむチョウチョウウオもいます。
チョウチョウウオたちは、サンゴなどの隙間(すきま)に入り込めるように体の左右は扁平(へんぺい)になっており横から見ると鮮(あざ)やかな模様をしています。鮮やかで目立つ体色は、同種間や異(い)種間でのコミュニケーションのためであるといわれています。また透明度が高い海で鮮やかなサンゴなどにとけこむことにも有効と考えられるでしょう。
日本では、もともと南の暖かい海に住む魚たちですが、夏になると多くの種類が相模(さがみ)湾や駿河(するが)湾でも目にすることが出来ます。これは、沖縄を中心とするサンゴ礁域で産卵された卵や稚(ち)魚が暖かい黒潮の海流に乗ってやってくるのです。やってきた幼魚たちのほとんどは、5cmほどに成長する頃、冬を迎え水温が低くなると生きていくことができずに死んでしまいます。しかし一部の種類では低い水温に適応(てきおう)して生きているものもいます。
当水族館では、下の写真のようなチョウチョウウオの仲間を展示しています。ぜひ探してみてください。色鮮やかなその姿を一目見ると、きっと虜(とりこ)になること間違いなしです。 (小俣勇気)
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年08月01日 11:19 |

2008年11月01日

(No.39)小さな体に鋭(するど)い刃(やいば) ~ケープペンギン~

我々飼育員も体の大きなキングペンギンなどに接するときは、細心(さいしん)の注意を払(はら)います。尖(とが)った長い嘴(くちばし)や、大きく頑丈(がんじょう)なフリッパーの攻撃(こうげき)を受けてはひとたまりもありません。その点、ケープペンギンは体も小さく、力もそれほど強くないため、少し気が楽になります。そんな安心している時に限って事件は起きるものです。
ケープペンギンの巣(す)穴(あな)を上から覗(のぞ)き込むと、そこには1組のペアがいました。下からこちらを眺(なが)め、首を左右にかしげます。愛くるしい仕草に目を奪(うば)われ、「可愛いなぁ。」と思った次の瞬間(しゅんかん)、頬(ほお)に激痛(げきつう)が走ります。「何だ?」と思わず頬に手をやると、目の下わずか2cm、真っ赤な血が流れていました。ケープペンギンの鋭(するど)い嘴が、頬をかすめたのです。一瞬の出来事でした。実は、ケープペンギンの首を左右に振る仕草というのは、威嚇(いかく)のサインなのです。我が家を覗き見る人間に威嚇をし、なおも離れようとしないため、とうとう行動に出たのです。まさかこの小さなペンギンにそんな力があるとは思いもせず私は驚(おどろ)きましたが、そもそも自然界で生き抜く彼らにはそれだけの攻撃力(こうげきりょく)があるのも当然です。みなさんもくれぐれも小さな動物が弱いものだとは思わないようにお気をつけください。
※水族館のショーやふれあい施設(しせつ)などにいるペンギンは人間によく馴(な)れており、おとなしいものばかりですのでご心配ありません。(今城 悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2008年11月01日 11:28 |

2009年01月01日

(No.41)冬眠する魚 ~ベラ~

キュウセンの名前の由来(ゆらい)は、体に赤い点の列が9本あるからだと言われています。漢字では「求仙(きゅうせん)」と表します。
キュウセン属の仲間たちは、ほとんどが熱帯地方に分布していますが、キュウセンとホンベラの2種は温帯地方にも分布しています。
また、仲間のほとんどが砂の中に潜(もぐ)ります。これは夕方、暗くなると砂中で眠るためです。水槽で飼育していると、水槽の照明を暗くすると砂中に潜り、朝方に照明を点灯(てんとう)すると、砂中より起き出てきます。また夜間はほとんど砂中より出ることはないようです。この様なことが水族館では観察されます。
また、北方に分布するものは、水温が下がる冬期には砂中に潜って冬眠をします。水温が上昇する春頃になると、冬眠から覚め活発に行動します。
ベラ類のほとんどが、砂中に潜るわけではありませんがキュウセンの仲間の大きな特徴(とくちょう)といえます。もう一つ、ベラ類の大きな特徴はオスとメスにより、また、幼魚と成魚により体の色彩(しきさい)や模様(もよう)が異なることです。キュウセンではオスは青味が強く、メスは赤味が強い。それぞれアオベラ、アカベラと呼(よ)ばれています。(長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2009年01月01日 12:14 |

2009年02月15日

(No.43)ミッキーマウス!?

2008年の干支(えと)と言えば…そう、皆さんもご存知(ぞんじ)の〝ねずみ〟ですよね。
魚達の名前にも〝ねずみ〟が付く魚がいるんです。
代表的な名前を挙(あ)げますと ネズミギス、ネズミギンポ、ネズミゴチ、ネズミダラ、ネズミフグ…等々まだまだ沢山(たくさん)います。そんな中で今回紹介(しょうかい)するのは、淡水魚のプラティー(Xiphophorus maculates)と言う魚です。
プラティーとは〈平たい〉と言う意味で名前の通り、体長(たいちょう)・体高(たいこう)に対し体の幅がないのが特徴(とくちょう)です。かなりポピュラーな淡水の熱帯魚ですので、ペットショップ等でも良く見られます。
日本に輸入されて、かなり色々な交雑(こうざつ)種(しゅ)が増え、原種(げんしゅ)を見ることは
めったにありません。
プラティーの繁殖(はんしょく)は卵でなく稚魚(ちぎょ)をそのまま生み落とします。
魚類の世界ではこれを卵(らん)胎生(たいせい)と言います。
プラティーなどの卵胎生メダカは親が交尾をしてメスの胎内(たいない)で発生が進み、稚魚として産み落とします。
妊娠(にんしん)期間(きかん)は4週間前後で10~50尾の稚魚を産みます。
さて今回は干支の〝ねずみ〟がテーマですが、このプラティーをよく見てください。尾鰭(おびれ)の近くになにやら模様(もよう)が見えますね。
そうです!皆さんがご存知のあの〝ねずみ〟のキャラクターマークが付いていますね。
ですから、この魚の俗名(ぞくめい)をミッキー プラティーと言います。
館内(かんない)にある水槽に展示(てんじ)してありますので、ぜひ探(さが)してみてくださいね。
では、本年も皆様にとって良い年でありますように!!(吉川 尚基)
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投稿者: スタッフ 日時: 2009年02月15日 13:39 |

2009年03月01日

(No.44)~死滅(しめつ)回遊魚(かいゆうぎょ)~ なれし故郷(こきょう)を放(はな)たれて 夢に楽土(らくど)求めたり

すべての生物は、その生涯(しょうがい)の中で、何らかの方法を使って分布域(ぶんぷいき)を広げようとする性質を持っています。カツオやマグロのように遊泳(ゆうえい)能力が高く、広い海を自由自在に泳いで移動するものや、卵や稚魚(ちぎょ)の時に海流に運ばれるなど、その方法は様々(さまざま)です。
 沖縄やフィリピンなどの熱帯から亜熱帯の海域(かいいき)に生息するチョウチョウウオ類やスズメダイ類が、夏場に本州沿岸に姿をみせることがあるのは、南から黒潮に乗って幼魚(ようぎょ)が運ばれてきたからです。
この種類はもともとは大規模(だいきぼ)な回遊(かいゆう)をする魚ではありません。水温が高い夏の間は成長することができても、生まれ故郷へと帰っていく力はなく、冬が訪(おとず)れ水温が下がると死んでしまいます。このような現象を繁殖(はんしょく)に寄(き)与(よ)しない分散(ぶんさん)という意味で「無効(むこう)分散」、そして無効分散を行う魚たちを一般的に「死滅(しめつ)回遊魚(かいゆうぎょ)」と呼びます。
 しかし、これが全くの「無効」なのかというとそうではありません。もし海の向こうに生息に適した場所があれば定着し、新たな分布域を広げることができるのです。生物の進化という長い時間の流れでみた場合、地球の環境はかなり大きく変動しています。将来、日本近海の海水温が上昇(じょうしょう)すれば、今では無効な分散も有効(ゆうこう)になる可能性があるのです。生物種にとって、無効分散は将来の分布拡大のための投資(とうし)と言えるわけです。
黒潮によって運ばれてくる幼魚たちは、けっして「死への旅」などではなく、新たな世界への生存の望みを賭(か)けた変化への挑戦(ちょうせん)なのでしょう。(足立 円佳)
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投稿者: スタッフ 日時: 2009年03月01日 13:52 |

2009年04月01日

(No.46)警戒(けいかい)と愛情のあいだ ~キングペンギン~

昨年8月、当館では初となる待望のキングペンギンの雛(ひな)が生まれました。すくすくと育ち、順調に大きくなっています。キングペンギンの雛は暗い茶色で親の抱卵(ほうらん)斑(はん)の中で、暖められながら育ちます。体が大きくなり、収まりきらなくなると、外へ出て親の近くに寄り添(そ)います。雛の成長は早く、3ヵ月も経(た)てば親と同じくらいの大きさになります。ふ化から9ヶ月ほどかけてようやく、雛の綿羽(めんう)から大人の羽毛へと生え変わり、巣立ちます。
雛の綿羽は保温性に優れますが、速(そっ)乾(かん)性が無いため、一度濡(ぬ)れてしまうと体温が低下し、最悪凍死(とうし)も考えられます。そのため、雛には細心の注意を払います。これまでに三度プールへの落下がありました。その度に慌(あわ)てて引き上げ、タオルやドライヤーで羽を乾かしてやるのですが、我々飼育係には一向に懐(なつ)きません。鳴き声を上げ、逃げ惑(まど)い、暴れまわります。さすがに3ヶ月を越した雛は大きさも親と同じ
なら力も親と同じです。押さえつけるのがやっとで、幾度(いくど)となく顔を叩(たた)かれながら乾かします。人間の愛情とは伝わりにくいもので、少し悲しくもなります。ただ、乾いた雛はフワフワな綿のようで、肌(はだ)触りだけはたまらなく気持ちの良いものです。(今城悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2009年04月01日 14:11 |

2012年10月05日

(No.48)足を無くした魚たち~ウツボ~

現在、地球上に生息する魚類には、もちろん足のある魚はいませんが、魚の持つ胸(むな)鰭(びれ)、腹(はら)鰭(びれ)のそれぞれが、高等な脊椎(せきつい)動物の前足、後足に相当(そうとう)します。
ウナギやアナゴ、ウツボ、ウミヘビ類の仲間を分類学上ウナギ目(もく)魚類と呼んでいます。これらの魚たちには、腹鰭はありません。ウツボ類ではさらに、胸鰭もありません。この理由から、ウナギ目魚類はかつて無足(むそく)類と呼ばれていました。
ウツボ類の特徴は体にはウロコがありません。ほとんどが温帯から熱帯に分布しており、全てが海産です。熱帯地方に分布する種類では色や模様(もよう)の大変に美しいものが多く、ダイバーの写真の好対照(こうたいしょう)になっていますが、歯が鋭(するど)く、危険な魚の一つです。
写真の魚はトラウツボで、上下のあごは湾曲(わんきょく)していて、完全に口を閉じることは出来ません。コケウツボ、ヒダウツボも同様です。日中は岩のわれ目や穴にいて、夜間に活動します。飼育していると、日中は岩陰(かげ)やパイプの中にいて、やはり水槽の照明を消して暗くなると出てきます。自然の海では小魚やエビ・カニ、タコなどを食べています。
一部の地域を除いて食用とはしません。熱帯地方には、有毒である種類もいるようです。
(長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:42 |

(No.50)蓑(みの)を着(き)たカサゴたち~ミノカサゴ~

ミノカサゴを漢字では蓑笠子(かさご)と表します。この仲間たちは、日本では4種類が知られています。いずれも原色の鮮やかな美しい魚で、大きな胸(むな)鰭(びれ)が特徴(とくちょう)です。
この魚の口と大きな胸鰭を広げた姿(すがた)が、まだ日本には傘(かさ)がなかった時代の雨具(あまぐ)である“蓑”をまとったようであると、古くから思われていました。これが、ミノカサゴの名前の由来(ゆらい)です。しかし、英語名では、バタフライ フィッシュと呼ばれています。これは大きく広げた鰭がチョウチョウの羽のようだとの事からです。またライオン フィッシュとも呼ばれていますが、これも大きく広げた鰭がライオンの“タテガミ”のようだからです。
この魚の背(せ)鰭やしり鰭の棘(とげ)に猛毒(もうどく)のあることも、大きな特徴といえます。この棘に刺(さ)されると激痛(げきつう)を受けます。このことより、スコーピオン フィッシュと呼ぶこともあるのですが、これは“サソリ”の意味で毒の棘を持っているからだと思われます。
ミノカサゴに対する日本人の持っているイメージとは大変異(こと)なるようです。この仲間たちは、温帯から熱帯地方の岩礁(がんしょう)やサンゴ礁にすんでいますが、熱帯地方のものは、体色が赤味の強い傾向(けいこう)にあるようです。
飼育していると、大きな口で小魚を飲み込んでしまうので、小型魚類との飼育には注意が必要な魚です。(長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:58 |

(No.52)世界一大きなタコ、怪力の持ち主~ミズダコ~

イカとタコ類は何の仲間だろう?と思う人は多いと思います。体が大変に軟(やわ)らかいことは知っていますね。実は堅(かた)い殻(から)を持った貝の仲間なのです(軟体(なんたい)動物といいます)。永い進化の過程(かてい)で殻が必要なくなってしまい、体の中に入ってしまいました。
タコは不思議な動物で、頭と思っている部分は実は胴(どう)であり、頭は眼(め)のあるところです。つまり、胴と頭の位置が逆転(ぎゃくてん)しているのです。また、足だと思っているのは、腕(うで)なのです。8本持っているのがタコ類、10本がイカ類です。
ミズダコはタコ類の中で世界最大といわれ、腕を広げると3m以上、体重は40kg以上になるものもいます。当館では、アサリ、アジ、イカなどを餌(えさ)に与えていますが、自然界では甲殻(こうかく)類(エビやカニなど)や貝類などを好んで食べており、ケガニやタラバガニといった大きいものや、ウニなどを食べます。ミズダコの天敵(てんてき)は、イルカやアザラシなどの海にすむ哺乳(ほにゅう)類やサメ類などの大型の魚のようですが、大きく成長したものはサメをも食べてしまう程の怪力を持っています。
飼育していると、水槽から脱出(だっしゅつ)することがあります。なにしろ、怪力の持ち主なのでこれを防(ふせ)ぐために、水槽のフタに重量のある、重しを置き、防止対策をしています。また体が軟らかいので、わずかの隙間(すきま)からも脱出するなどの特技も持っています。
(高山詩織・長谷川勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 15:05 |

(No.53)大きくなったら大変身!? ~ナンヨウツバメウオ~

平たい円盤状(えんばんじょう)の体に広めのおでこが目立つ変わった姿(すがた)。マンジュウダイ科に属(ぞく)す魚の特徴(とくちょう)です。その中にツバメウオという魚がいます。世界中の暖かい海や汽水域(きすいいき)に分布していて、日本ではツバメウオ・ナンヨウツバメウオ・ミカズキツバメウオ・アカククリの4種類が見られます。当館ではツバメウオとナンヨウツバメウオとアカククリを展示(てんじ)しています。
ところで、漢字で表すと燕魚(つばめうお)と書きますが、その名前の由来(ゆらい)は幼魚の時代の姿にあるようです。
背鰭(せびれ)と尻(しり)鰭(びれ)が上下に長く伸び、まるでツバメが飛んでいる姿のようだというのが一説(いっせつ)にあります。
しかし、残念ながらツバメの姿でいるのも幼魚の間の数ヶ月ほどだけです。成長するにつれて大変身を遂(と)げる魚の仲間なのです。
ナンヨウツバメウオは伊豆半島の海などでも観察できます。幼魚は茶色くて薄(うす)っぺらでひらひらと海面に漂(ただよ)っていることが多く、一見、枯(か)れ葉にしか見えません(これを擬態(ぎたい)といいます)。未熟(みじゅく)な幼魚は、植物だったり動物だったり、枯れ葉のような、どこにでもあるものを利用して生きているのです。生き物たちは、厳(きび)しい自然界を生き残っていこうとするたくましい力をみせてくれます。今、海水館では色々な成長段階(だんかい)のナンヨウツバメウオを展示しているのでぜひご覧(らん)になって下さい。(野村 俊介)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 15:07 |

2012年10月17日

(No.54)集団行動をとる魚たち~アジ~

アジ科魚類は日本近海から約50種類ほどが知られています。そのほとんどが食用にされ、水産上、重要な種類が多く、特にマアジはその代表格といえます。また、イワシやサンマ、サバなどと共に日本人にはなじみの深い大衆魚ともいえます。
アジ類の大きな特徴は体の両側に稜(りょう)鱗(りん)といって、大きく堅いウロコがあることです。(一部にはない種類もいます)マアジは沖合いにすむものは青味が強く、岸近くにすむものは黄色味が強い傾向(けいこう)にあるようですが、この原因は分っていません。
また、群れで行動する種類も多く、このため定置(ていち)網(あみ)やまき網などで大量に漁獲(ぎょかく)されることもあります。いわゆる“大漁”です。また釣りでの“入れ食い”もこの理由からです。
アジ類の干物は皆さんもよくご存知と思いますが、魚屋さんの店先で、大きなアジの干物を見たことはありますか? 日本産のマアジよりはるかに大きいサイズです。これはヨーロッパでとれたもので、日本に大量に輸入されております。オランダアジ、ノルウェーアジなどと呼ばれています。日本のマアジに大変よく似ていて区別できないほどです。また、オーストラリア、ニュージーランドにも大変に良く似た種類がいます。この重要で美味しい魚も、他の国では、日本国民ほどに好んで食べないようです。      (長谷川 勇司)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:49 |

(No.55)~ すべての生命の源(みなもと) 海 ~

 皆様、2009年あけましておめでとうございます。新年の凛(りん)とした空気を胸いっぱい吸い込むと、気持ちが引きしまり初心(しょしん)に帰ります。そこで、2009年1月の「山の上から」はすべての生命の源(みなもと)、「海」のお話をしたいと思います。
数十億年前、海に誕生した単細胞(たんさいぼう)が、やがて魚や両棲類(りょうせいるい)になり、後に陸に上がって爬虫類(はちゅうるい)、そして哺乳類(ほにゅうるい)へと進化しました。遠い昔の出来事のように感じますが、実は人間の胎児(たいじ)は母親の体内から出るまでの約10ヶ月の間、生命の歴史を早回しで体験しているのです。
卵子(らんし)と精子(せいし)が結合して受精卵(じゅせいらん)ができる、これが人間誕生の最初です。この段階では、単細胞の生物とほとんど同じ構成をしています。胎児が成長するのも、<羊水(ようすい)>という<水の中>です。いわば、生物発生の頃と同じように、人はいまでも水の中で育っていくのです。事実、受精後
1~2ヵ月の胎児は、肺呼吸(はいこきゅう)ではなく水中でエラ呼吸をし、四肢(しし)には水かきの名残(なごり)も残っています。そして羊水の成分構成をみても、「生命の源は海にあり」ということを知ることができます。なぜならそれは<海水>にきわめて近い性質をしているのです。
詩人・三好達治による「郷愁(きょうしゅう)」と題された詩にこんな一節(いっせつ)があります。「海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。そして母よ、仏(ふつ)蘭(らん)西人(せいじん)の言葉では、あなたの中に海がある。」
漢字の<海>の中には<母>という字が入っており、フランス語の母、<mère(メール)>の中には海を意味する言葉<mer(メール)>が含まれていて「母の中に海がある」というわけです。言葉を作った先人(せんじん)達は、国は違えど<海>と<母>のつながりを感じとっていたのですね。
(足立 円佳(まどか))

投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 13:57 |

(No.57)カクレクマノミ

箱根園水族館に今年より新たな仲間が入りました。皆(みな)さんもご存知(ぞんじ)の映画で有名になったカクレクマノミです。大きくなっても約5~6cmにしかならない小さな魚です。カクレクマノミは奄(あま)美(み)大島以南、西部太平洋のサンゴ礁(しょう)に生息しています。そのサンゴ礁でカクレクマノミはイソギンチャクと共生(きょうせい)しています。イソギンチャクの中からクマノミが顔を出している姿が良く見られますが、それが共生です。それぞれの外敵(がいてき)からお互(たが)いを守りあっているのです。ではなぜクマノミはイソギンチャクに触(ふ)れても平気なのでしょう? 他の魚はイソギンチャクの触手(しょくしゅ)に触れると触手の毒のある刺胞(しほう)に刺(さ)されますが、クマノミたちは体表から出る粘液(ねんえき)がイソギンチャクと同質(どうしつ)なため、刺胞が刺さらないようになっているのです。
自然界でクマノミたちはそれぞれに共生するイソギンチャクが決まっているようですが、飼育下ではあまり選(よ)り好(ごの)みはしないと言われています。
(冨江 亮輔)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:17 |

(No.59)タマカイ

タマカイは硬骨(こうこつ)魚類中でもっとも大きいとされる魚です。インド洋から太平洋にかけて広く分布し、いつも
サンゴ礁(しょう)や岩礁のくぼみに隠(かく)れて生活しています。餌は口に入るものはなんでも食べてしまい、なかには
小型のサメやウミガメの子供なども食べているようです。
当館の大水槽にいるタマカイは約1.5メートル、その大きな体はもちろん、餌を水ごと吸い込む大きな口も間近でみると、かなりの迫力(はくりょく)があります。大きな水槽のなかでもひときわ目立つ存在です。
今までに発見された個体のなかには、体長3メートル以上、体重400キロという記録もあり、オセアニアの
一部の地域では、ダイバーを丸飲みしてしまう「人喰いハタ」とおそれられていますが、実際にタマカイが人を
食べたことはないようです。
大水槽にいるタマカイは灰色の体をしており地味ですが、幼魚の頃は黄色と黒のまだら模様をしています。
当館の熱帯魚水槽にはタマカイの幼魚も展示していますのでぜひ、探してみてください。        (高山 詩織)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:24 |

(No.60)夢の!?一夫多妻制(いっぷたさいせい) ~サクラダイ~

多くの生き物には、オスとメスがいます。魚のそれは実に様々な特徴を持った面白いものです。
サクラダイのオスとメスは一目で解(わか)るほどはっきりとしています。メスはオレンジ色で、オスは赤色が濃いです。さらに、オスには名前の由来となる綺麗(きれい)な桜の花びら模様があるのが特徴です。しかし、サクラダイの最大の特徴は、オスにもメスにも変化できるということです。
 サクラダイの社会では一夫多妻制の群れが作られます。一つのオスが多くのメスを獲得(かくとく)するこの制度では、オス同士の抗争(こうそう)がつき物です。この時、優位にたつのが体の大きなオスです。体の大きなオスが多くのメスを独占(どくせん)することとなり、体の小さなオスは繁殖(はんしょく)のチャンスを失います。これでは体の小さなオスは自(みずか)らの子孫を残すことが出来ません。そこでサクラダイが選んだ手段が、性(せい)転換(てんかん)です。体の小さいうちはオスとして戦うよりも、メスとして卵を産む方が子孫を残すには効率的です。さらに体が大きくなってからオスへと性転換すれば、他の多くのメスを独占することができます。これが、彼らにとって最も効率的で、合理的な繁殖方法なのです。
 自らの子孫を残すため、オスにもメスにもなる彼らの繁殖方法には驚(おどろ)かされますが、こうして永い年月の中、進化を続けてきたと考えると生命の素晴らしさを感じさせられます。
(今城 悠二)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月17日 14:26 |

2012年11月26日

(No.61)逆(さか)立ちする魚 ~ヘコアユ~

魚類のほとんどは、頭を前方に、背中を上にして泳ぎますが、なかには変わった姿勢(しせい)で泳ぐ魚もいます。“ヘコアユ”は特に変わっていて、いつも頭を下にして泳いでいます。驚(おどろ)いた時には、体を水平にして泳ぎますが、すぐに頭を下にします。また、背ビレのある方向、つまり背後(はいご)に進みます。この様な奇習(きしゅう)を持った魚はヘコアユぐらいのものでしょう。
和名のヘコアユの「ヘコ」は反対、逆さまの意味で、「アユ」は歩むことです。つまり逆立ちの姿勢から背後の方向(反対の方向)に進むことからが、名前の由来です。漢字では「兵児(へこ)鮎(あゆ)」と表します。この魚は熱帯地方の波のおだやかな、内湾のサンゴ礁(しょう)に数十尾の群れを作ってすんでいます。体は左右に扁平(へんぺい)で細長いくちばしの先端に口があり、細かいプランクトンを食べています。また、ヘコアユの姿勢の反対つまり頭を上にして立ち泳ぎをする魚もいます。“タツノオトシゴ”の仲間達です。左右の胸ビレを使い泳ぐ時はいつも頭を上にして、立ち泳ぎをしています。
タツノオトシゴ類はヘコアユとは近(きん)縁(えん)でくちばしの先端に小さな口があり、細かいプランクトンを食べていることも似ています。                    ( 長谷川 勇司 )
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年11月26日 11:48 |

(No.65)縞(しま)模様(もよう)はどこへ?変身イシダイ

海で体長10cmから15cm程のイシダイという魚が釣れることがあります。白黒の縞模様や顔つきはなかなか可愛らしいものです。しかし、このイシダイという魚、大きくなると幼い頃とは全く違った風貌(ふうぼう)になってしまうのです。
 釣りの世界で幻といわれている「口(くち)黒(ぐろ)」という魚がいます。その名の通り口が黒く、体の色は灰色で、その姿はとても貫禄(かんろく)を感じさせます。また、磯の王者ともいわれており、釣り人にとっては憧(あこが)れの的です。さて、なぜここで見た目の全く違う魚の話をするかといいますと、実はこのイシダイと口黒は同じ魚なのです。幼魚の頃は白黒の鮮やかな縞模様をしていて貫禄などありません。しかし、体長30cmを超える頃に縞模様が薄れ、口の周囲が黒くなり始めます。これぐらいの大きさになると大物の雰囲気が出てきます。そして、40cmを超える頃には縞模様はほぼ無くなり、立派な口黒といえる姿になります。
 最近では、50cmを超えるような大物は滅多に見られませんが、過去には70cmを超える超大物も記録されています。そんな大物は私も見たことはありませんが、その姿には憧れを持ちます。当館の大水槽にいるイシダイは、現在約30cmになり、口は黒くなり始めましたが、体は灰色にはな
っておらず、口黒にはまだまだほど遠いです。いつかこのイシダイが貫禄ある口黒と呼べる姿になってほしいものです。 (鈴木智久)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年11月26日 11:59 |