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飼育係 アーカイブ

2012年10月05日

(No.47)山の上の飼育係~掃除(そうじ)の巻~

飼育係の仕事は掃除に始まり掃除に終わる…と思うほど掃除は飼育係の仕事のほとんどを占(し)めています。水槽(すいそう)の中、水族館の中を美しく保(たも)つため水族館では毎日いろいろな掃除を行っています。
 皆(みな)さんも見た事があるかもしれませんが、水槽には必ずといっていいほど苔(こけ)が生(は)えてきます。この苔掃除は飼育係の基本ともいうべき大切な仕事で、いろいろな道具を使って水槽内を掃除しています%E9%81%93%E5%85%B7.bmp
しかし水族館にはガラスまで手が届(とど)かない水槽や1000トンもある大水槽などがあり、こういった大きな水槽は飼育係がウェットスーツに身を包(つつ)み、空気ボンベを背負(せお)って潜水(せんすい)掃除を行っています。
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その他には、水槽の底に溜(た)まるゴミを取り除く、吸(す)い込(こ)み掃除も大切な仕事です。魚たちに餌(えさ)を与(あた)えると排泄物(はいせつぶつ)や餌かすがでます。こういったものが底に溜まっていくと水がどんどん汚れてしまうため、定期的に取り除くのです。
この他にもアザラシやペンギンなど、魚以外の動物の展示プールの掃除。水族館内のゴミ掃除などたくさんの掃除があります。水族館は、このようにいろいろな掃除を行っている飼育係の努力(どりょく)の結晶(けっしょう)でもあるのです。(冨江 亮輔)

投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:17 |

(No.49)日本一標高(ひょうこう)が高い海水水族館

皆さんはご存知(ぞんじ)でしょうか?、標高723mに位置するここ箱根園水族館は日本一標高が高い海水水族館なのです。入館してすぐ目の前に飛びこんでくる1000tを超(こ)える魚類大水槽や、サメ水槽、クラゲ水槽、熱帯魚水槽等(とう)、山の中とは思えない美しい水槽が並(なら)んでいます。
それではこの美しい水槽の海水を海から遠く離(はな)れた山の中でどのように維持(いじ)しているのでしょうか。人工海水を利用する水族館もありますが、私たちは天然(てんねん)海水を使用しています。実は、静岡県沼津(ぬまづ)市から1日2回、10tずつの計20tをタンクローリーで片道1時間半かけて毎日輸送(ゆそう)しています。
20tといえば家庭の浴槽(よくそう)でおよそ100杯分(ぱいぶん)に相当(そうとう)します。ものすごい量に思われますが、これは、1000tクラスの水槽を有(ゆう)する当水族館の総(そう)海水量の1~2%に過(す)ぎないのです。ですから、当館は目の前の海から大量の海水を利用できる海辺(うみべ)の水族館と違(ちが)い、使用できる海水は常(つね)に限(かぎ)られています。
この限られた海水を無駄遣(むだづか)いしないために、各水槽の補(ほ)給水(きゅうすい)が多すぎて海水を無駄にしていないか?、逆に少なすぎて水質に影響(えいきょう)を及(およぼ)ぼしていないか?、を気にかけています。また輸送海水は専用(せんよう)の海水受(じゅ)水槽(すいそう)に入れるので、次回の海水が確実(かくじつ)に入るように調整(ちょうせい)をしなくてはなりません。
水族館は普段(ふだん)は見られない生物を見ることができてとても楽しいところです。しかし、その裏(うら)では生物だけでなく、水を扱(あつか)う仕事も行われています。今後水族館に行かれた際(さい)には、このような水のことも考えながらご観覧(かんらん)いただければ、より一層(いっそう)楽しめるかもしれません。(鈴木 智久)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年10月05日 14:46 |

2012年11月26日

(No.63)淡水魚と海水魚はどこがちがうの?

箱根園水族館では、2009年8月8日から好適(こうてき)環境(かんきょう)水(すい)を使用した展示を開始しました。
好適環境水とは、岡山理科大学専門学校が開発した特別な粉末(ふんまつ)を真水(まみず)に溶かした飼育水のことです。この水を使うと、海水魚と淡水魚を同じ水槽で飼うことができるのです。
ではそもそも、海水魚と淡水魚が同じ環境で暮らせないのはなぜでしょうか?海水と淡水の違いと言えば、やはり、しょっぱさの違い・塩分(えんぶん)濃度(のうど)の違いですよね。そしてさらに、魚にとって問題になってくるのが、体液(たいえき)の塩分濃度と、水中の塩分濃度の関係です。魚の体液塩分濃度は、魚種等で若干(じゃっかん)の差はありますが約1%と言われています。それに対して海水の塩分濃度は  
3%ですので、溶液(ようえき)の性質から、そのままでは、海水魚の体内の必要な水分がどんどん水中に
吸収されてしまい、脱水(だっすい)状態になってしまうのです。塩分がほとんど0%の淡水に、すんでいる淡水魚は逆に体内に余分な水分が侵入(しんにゅう)してくる事になり、水ぶくれ状態になってしまうのです。
 これらの事を防ぐために、魚は鰓(えら)・各臓器(ぞうき)・排泄(はいせつ)などの働きにより、体液の塩分濃度を、調節しているわけです。この体液の塩分濃度を調節する機能の事を「浸透圧(しんとうあつ)調節(ちょうせつ)機能」と言います。中には、汽水域(きすいいき)に生息する魚や、成長に伴(ともな)って、生息域を変える魚がいますが、浸透圧調節機能をうまく使い分ける事ができたり、成長ホルモンの分泌(ぶんぴつ)を調節するなどして、浸透圧を調節しているのです。淡水域と海水域を、往来(おうらい)できるような魚は、浸透圧調節機能がすぐれているといえます。                                   (足立 円佳(まどか))

投稿者: スタッフ 日時: 2012年11月26日 11:56 |

(No.64)アルビノ

アルビノとは生まれながらにしてメラニン色素が欠乏(けつぼう)している状態の事を指し、先天性(せんてんせい)白皮症(はくひしょう)、先天性色素欠乏症などと呼ばれています。最大の特徴としては、メラニンの欠乏により、体毛や皮膚は白く、瞳孔(どうこう)は血管の透過(とうか)のため赤く見えます。このアルビノ個体は動物全般に広くみられますが自然界での生存率は極めて低く、その理由としては、視力が弱い・捕食者(ほしょくしゃ)に見つかりやすい・紫外線(しがいせん)に対する免疫(めんえき)がないなどがあげられます。その珍(めずら)しさからシロヘビやシロウサギなどは民話などで語りつがれ、一部の動物は神聖(しんせい)なものとして扱われています。その一方現在では、魚類・両生類・爬虫類(はちゅうるい)などのアルビノ個体は珍しさと見た目の美しさから観賞用としても人気があります。 
また白(はく)変種(へんしゅ)といってアルビノと間違われやすい個体もいます。こちらは突然(とつぜん)変異(へんい)で生まれた白い個体なのですがアルビノとは別の遺伝(いでん)形質(けいしつ)を持っています。ホワイトタイガーやタイの白(しろ)象(ぞう)などがこの部類に入ります。アルビノと白変種は眼の色の違いで見分ける事ができます。(白変種は眼が赤くない)
当館にもいくつかのアルビノと白変種の生物を飼育しているのでぜひ探してみてください。        (冨江 亮輔)
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投稿者: スタッフ 日時: 2012年11月26日 11:57 |