手ごわい帽子とボディバターと靴との出逢い★

わけあって、今週は年下の殿方と、プリンスをぷらぷらする機会に恵まれました。
「彼女と、ショッピングは?」
「あまり、しないですね」
「ふうん。じゃあ、人妻とは?」(←こういうときだけ、必殺「人妻」を出し、その効果を狙う)
「ははは」(←なにを言うんだこのひとは、ってかんじの、ははは)

「カシラ」は大好きなショップ。帽子とシックにつきあうには、相当のセンスが必要なので、相手が手ごわいほどに燃える心理で、気づくと、時間を忘れて帽子選びに没頭したりしているのです。
お店の奥にひっそりと飾られていた美しい帽子に目がとまりました。今をときめく帽子デザイナー、「misaharada」の作品。

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「これが似合う人って、少ないでしょうね、たいていは、帽子に負けちゃいますよね」
「それって、私には似合わないからやめたほうがいい、と言っているの?」
「いいえ、そんなふうには誰も、言っていません」
「でも、素敵ねえ。シンプルなかんじでコーディネイトするのは正統で、かっこいいだろうけど、すっごくドレッシーなのも、いいでしょうね」
「ある程度、年齢がいっているほうが、いいのかもしれませんね、きっとお似合いですよ」
「……」

★ちょっと御礼をしたいひとがいるので「ザ・ボディショップ」へ。
やはり「人気ナンバーワン」に目がいってしまいます。
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「ボディバターシリーズ、っていつも思うんだけど、すばらしいネーミングよね。なんたって、ボディバターよ、ボティバター。おいしそうよねえ。エロティックよねえ」
「人気ナンバーワンは、リッチプラムですか、ああ、いい匂いだなあ」
「どう? くらりとくる?」
「きますきます」
「ふうん、じゃあ、これにしよう。私よりひと回り年下の女の子なのよ。私にはちょっと爽やかすぎるかな」
「たしかに、あんまりイメージ合わないかもしれないですね」
「……」

★靴、大大大好きだから 「ミクァイ」も好き。
「足首にぐるぐる巻きつけるスタイルって、なぜか弱いのよね、これ、素敵」
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「僕は、この赤いのがいいです、こんなの履いてほしいなあ」
「いま、頭の中、彼女の足ではちきれそうでしょう?」
「ははは」(←肯定の、ははは)
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「プレゼントしたら?」
「え! 女性って、靴をプレゼントされたいものですか?」
「いいえ、私は、されたくない。自分で時間をかけて選んで買いたいから。デザインが素敵でも、自分の足に合わないものだと、それは『出逢い』ではないのよ、難しいの」
「『出逢い』とは?」
「デザインにほれ込んで、それで自分の足にもぴったりなものなんて、そうあるものではないでしょう。ほら、素敵な殿方に逢って、よいわあ、と思ったとしても、相手がこちらに関心がなかったら、それは『出逢い』とは言えないでしょう。 そういう意味で、靴って恋人と、とっても似ているのよ」
「……」




山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

軽井沢・プリンスショッピングプラザ
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