セルジュ・ルタンス、圧倒的な美の世界◆

「フランスの知性、哲人」と称されるアーティスト、美の創造者、セルジュ・ルタンス。

クリスチャン・ディオールで活躍し、1980年から20年間資生堂のイメージクリエーターを務めたひと。

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3年前、2005年に資生堂ギャラリーで、「セルジュ・ルタンス―夢幻の旅の記録」と題された展覧会が開催されました。
これを見逃したことを、私は激しく悔やんでいるのですが、それほどまでに、彼の創り出す世界は、卒倒するほどに、「美!」です。

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(葉のレースを纏う女性  「レース Dentelle」1995)

20年くらい前に流れていた資生堂、インウイのテレビCMを、いま観ると、芸術は古びないのだということがよくわかります。
(メイクからセット撮影にいたるまで、すべて、セルジュ・ルタンス!!!)


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つまり、セルジュ・ルタンスがここで創り上げたものは、価値ある芸術作品。

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メイクという、ファッション以上に、モード(うつりゆくもの)なものが、なぜ、ここまで美しいままなのか、愕然とするほどです。

20年前の自分のメイクはもちろん、雑誌のモデルさんたちのメイクを振り返ってみればよくわかります。それは「ぷ」と、ふきだしてしまうほどに、むかーしのメイクでしょう。

ユーチューブにて「資生堂インウイ」で検索すると、セルジュ・ルタンスの美の世界を堪能できます。

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さて。
あふれる情報、おしよせる仕事の波のなかで今回、セルジュ・ルタンスに思いがけずふれたのは、「シュプールリュクス 第10号」の特集記事によります。

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ほんとうに、リュクスな香りたっぷりのこの雑誌、友人から借りたのですが(買いましょうね、私)、ルタンスに関する充実の記事に瞠目でした。

10年かかって完成させた香水「セルジュ ノワール」についての伝道目的とはいえ、ルタンスワールドを堪能できますからおすすめです。
香水の名前のこともあり「ノワール=黒」が中心なのも、好み。

「黒はまず第一に、美しい色、誠実で永遠の色。そしてすべての色の生みの親です」


「私にとって黒は単なる色ではなく、内面の感情を表すもの。私のモノの見方自体がノワールなのです」


「黒は最もナチュラルな色だとおもいます。
モードでもパーソナルでもスタイルでもなく、私にとっては最もパーソナルな世界。黒がもつ本質、絶対性に惹かれます。
……俗世界やあいまいさに“ノン”と言うきっぱりした姿勢がノワールなのです。
それは過激な基準かもしれません。しかし私はそのような意味、解釈での“ノワール”の世界に生きているのです。私自身が“ノワール”を体現しているのだとも言えるでしょう。私は黒によって助けられ、守られ、定義され、そしてつくられたのですから」


はい。このなかで私のなかに、重みを持って響いてくるのが、このくだり。


「俗世界やあいまいさに“ノン”と言うきっぱりとした姿勢がノワールなのです」


クローゼットに黒い服が、また増えてしまう……。
次、いきます。


「夜空を見ると、黒の美しさが見にしみます。“ノワール”という響きも詩的だと思います」


この言葉なんて、軽井沢の住人としては、こころから頷けることでしょう。
世界の底のように真っ暗な空……、そんな夜がありますものね。

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最後に、以前から私が大切にしている言葉を。もちろんbyセルジュ・ルタンスです。


―――「美」というものは希少さを望んでいるのです。




山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

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