「挑発」が成功の鍵。ピエール・カルダン◆

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美輪明宏氏は、かつてピエール・カルダンにこんな質問をしました。

日本の美意識についてどう思いますか。

カルダンは答えました。

「手がつけられないくらい完成している。ゴッホも、ゴーギャンも、ロートレックも、マネも、日本の美術に対しては敬服していたのがよくわかる。ただし、洋服を着るとそれがどうしてあんなに変になるのか」
(「人生・愛と美の法則」より)


とほほ……。

……。

さて。


ピエール・カルダンといえば、バブルドレス、宇宙ルック、四角い袖などなど。
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どれも奇想天外で、発表するたびにジャーナリストたちの注目をあつめてきました。

そのカルダン、デザイナーとしてだけではなく、有能なビジネスマンとしても有名です。

たとえば、ライセンス方式をファッション界に持ち込んだ元祖はカルダン(今や世界百十数カ国にまたがる約900のライセンス収入がある)、

ユニセックス時代の到来を見越して、デザイナーとして最初にメンズを手がけたのもカルダン、

モードの大衆化を予感してデザイナーとして最初にプレタポルテ(高級既製服)を手がけたのもカルダン。

こういったことが「カルダンは、ビジネスマンで、もはやクリエーターではない!」という悪口も作り出しています。

さて、私個人的にはピエール・カルダンといえば、ジャンヌ・モローとつなげたいところです。

泣く子も黙るフランスの名女優ジャンヌ・モローは恋多き女ですが、若かりし頃、カルダンと同棲していたことがあります。

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ジャンヌ・モローの危険な魅力が画面からあふれる映画「エヴァの匂い」、この映画の衣装を担当したのがカルダン。
それまではシャネル一色だったジャンヌ・モロー、以後はカルダン一色となるのです。
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二人の出逢いについての、ジャンヌ・モローの言葉。

「一目ぼれだった。彼がホモセクシャルだということは知っていたわ。でも彼にわたしを愛させることができることもわかっていたの」

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ふたりのつきあいは五年続き、カルダンはジャンヌ・モローとともにパリ・シックを体現したのです。

昨年2008年の10月。
8年間の沈黙を破り、ピエール・カルダンは、南仏で2009年春夏コレクションを発表しました。

白髪のカルダンは快活にインタビューに答えます。

「当時、時代のリーダーになったのは僕のデザインがとても挑発的だったからだよ」

興味のある方は「ピエールカルダンジャパン」へどうぞ。動画も充実、とっても楽しめます。

参:「世界のスターデザイナー43」



山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

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