山口路子のMODEな軽井沢
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モリスラグスでモリスに触れる★
April 3, 2009
「モリスラグス ロンドン」で“ウイリアム・モリス”に触れて、陶酔のひとときを過ごしてきました。
ウイリアム・モリスといえば、19世紀イギリスの詩人として、デザイナーとして社会運動家として、さまざまな分野で活躍し、「モダンデザインの父」と呼ばれた芸術家です。
現在でも、モリス・デザインによる絨毯やカーペット、カーテン、文具などを、私たちは色々なところで目にします。
「モリスラグス ロンドン」で触れたモリスはこちらの絨毯です。
タイトルは「鳥と野菊」。
オリジナルは1878年に制作されました。
モリスがとても愛していたデザインだと言われています。野菊などの野の花々を背景に、キジ鳩を想わせる鳥と、不思議な飛ぶ鳥を配置して「自然界の生命と秩序」を表現しているのだそうです。
さて。
話は思い切りそれますが、私はモリスの妻に以前から興味を持っていて、色々なところで彼女について書いています。
その名はジェーン・モリス。
ジェーンは魅力ある女性で、周囲の男性を夢中にさせました。
モリスもその一人でした。
プロポーズのときのエピソードをかんたんにご紹介しましょう。
***
モリスには唯一の油絵があります。「王妃ギネヴィア」というタイトルで、モデルはジェーンでした。
モリスは構図のためにあれこれとポーズをとらせていましたが、どうしても上手く描けません。モリスはデッサンが苦手だったのです。苛立ったモリスはデッサン紙の裏にペンを走らせました。そして、それをジェーンに見せました。
そこには次のように書かれていました。
「わたしは貴女を描くことができない。しかし愛することができる」
二人は結婚し、二女をもうけます。
しかし、この結婚は風変わりでした。ジェーンは後に「夫を愛したことはなかった」と語っています。
ジェーンはモリスの先輩である、画家のロセッティと恋愛関係にあったのです。そしてモリスも、これを容認していました。不可思議な三角関係だと噂されました。
……と、きりがないのでこの辺でジェーンのお話はおしまい。
↓ロセッティがジェーンをモデルに描いた絵の中の一枚。タイトルは「パンドラ」です。
***
モリスラグスに戻します。
センスのよいこのお店は、なんというか、「重厚感」があります。
もちろんお手軽な価格のものもあるのですが……なんだろう……ホンモノがあるせいでしょうか。
とにかく一度、訪れることをおすすめします。
ただし、部屋の模様替えをしたくなること間違いなしです。
絨毯、カーペットを一枚変えるだけで、部屋の雰囲気ががらりとかわりますから。
春だし。
我が家も、リビングの絨毯について、検討中。がんばって、ウィリアム・モリスに毎日触れられるようにしたいです。
モリスのデザインはほんとうに美しい……。
それを堪能できそうな展覧会を知ってしまって、今、行きたくてうずうずしています。
お近くの方はぜひ、お出かけください。
★西宮市大谷記念美術館で2009年4月4日から5月24日まで「ウイリアム・モリス展」が開催されます。
詳細はこちらから。
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