「スウォッチ」と「チックタック」★

「時計をしない男のひとが好き。時間から自由でいるひとってかんじがして、だから好き。私も同じ理由から、時計をしないでいたい」

そんなことを言っていた時代もありました。
今では、携帯電話に時計機能があるため、時間から自由でいられるひとは、絶滅寸前です。ほとんどいません。だから、もう、そこにこだわるのはやめました。

けれどもやはり、私にとって時計は、時間を見るため、という実用ではなくアクセサリーなのです。
だから服に合わせて色、デザインなど、合ったものをつけたい。当然、バッグや靴と同じように、いくつものデザインが欲しくなって困ります。
                                                              

★プリンスの「スウォッチ ショップ イン ショップ」でも、いくつか、欲しいものを見つけてしまいました。

↓ こちらのは、私の年齢からすると、ちょっと無理があるかな、とも思いますが、でも、バッグとか靴とかは華やかな色のが好きなので、時計もよいのです。濃いピンクのマニキュアで合わせたい。

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↓ これはゴールドのブレスレットと合わせたいな、と思いました。

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↓ 今回の一番はこちらです。ブレスレットと同じようにつけられるので、今、欲しいです。

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↓ こちらは「とってもスウォッチっ」なシリーズ。娘に見せたら、クレイジーなほどに欲しがりそうです。写真だけ見せることにしましょう(イジワル)
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★「チックタック ウオッチ」は「危険」です。
危険。その意味するところは、「私好みのものがある」ということです。

まずはお店の方のイチオシ、ということで、こちらをご紹介。

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「日本におけるモダンデザインの第一人者にして今なお現役で活動を続ける渡辺力(ワタナベリキ)」氏とのコラボレーションです。
「和」がテーマ。「漆器」をイメージした黒と金を使っていて、レトロでシックです。
ベルトの裏地にゴールドカラーが施されているのも、細部までのこだわりがあります。


次に、「このなかでどれか一つくれる、って言われたらどれ選ぶ?」と自問し、「これだな!」と自答しました。
……淋しい。

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もう、こわれちゃったけど、ずいぶん前にスペインで買ってきたサルバドール・ダリの時計を思い出させました。
装飾的な文字盤と、レンズのようにまあるく飛び出している表面、クラシックな漆黒のバンドが、とっても好みです。


この淡いパープルも、すてきです。(二番目に欲しい)

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それから、これはパンフレットからですが、「アンティーク・テイスト」という言葉に惹かれました。チックタックオリジナル、「スピカ」ブランドのものです。
すごく目立つというのではないけれど、フォルムがとても美しい、と思いました。(一番と一緒に、あるいは、二番と一緒に、欲しい)

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衣装としての「服」◆

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軽井沢図書館を、娘とよく利用します。一つのカードで10冊借りられるので、二人で行くと20冊までオッケーですが、重たいので、「一人7冊ね」とあまり意味のない決め事をしたりしています。


一週間ほど前、別の本を探していたら、美輪明宏さま(注①)の「おしゃれ大図鑑」を発見。7冊のうちの一冊にすることにしました。

(*注①*私は常日頃、独断で「このひとはすごい」と思う表現者の名前に「さん」とか「氏」とか、そういうのをつけないようにしています。たとえば、私はピカソのことを「このひとはすごい」と思っています。岡本太郎のことも「このひとはすごい」と思っています。そして、ピカソや岡本太郎に「さん」も「氏」もつけません。それと同じなのです。この流れでゆけば「このひとはすごい」に思いきり入る「美輪明宏」に対しても、名前四文字ずばりで表現すべきなのです。でも、なぜか……どうしても、「美輪明宏さま」になってしまう。なぜでしょう……とにかく「さま」をつけないと落ち着かない……不思議なエナジーがあるのでしょう。以上、くどい説明でした)
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家に戻り、リビングで図書館から借りてきた本を並べて、「どれから読もうかな」と考える、あの瞬間が好きです。
娘と互いに互いの本をチェックしたりします。


彼女、その日はやはり「おしゃれ大図鑑」に目をみはって、私が借りる本としてはたいへん意外だ、という趣旨のことを言いました。読んで良い旨を伝えると、中原淳一の絵などに反応しながらページを繰っていました。


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この本、私が小学校の教師だったら(ありえませんけど!)、「この夏の推薦図書」にしたいです。そうよ、
★「美」とは何か。
★自分はどんな人間になりたいのか。
★一に美意識! 二に美意識! 三も美意識! とにかく美意識! 
……といったことを、小学生の頃から強く教えてあげれば、

「どんなにそれが醜い姿であろうと周囲がやっているからする」人や「それが醜いことすら気づかない」人や、「人と違うって何? 美意識って何?」とあまり美しくない表情で言う中学生、高校生、それ以上の年齢の人たち……が多少、減るのではないか、と期待してしまうのですが、いかがでしょうか。


さて。
最初のページ、見開きからして圧倒されます。
渋谷の街を背景に闊歩するのは中原淳一が描いた女性たち。美輪さまの意図が痛いほどに伝わってきます。
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あんまりきれいな街ではないけれど、きれいな服を着た人たちが歩けば、ほら、こんなに美しい……。とおっしゃるのです。


私は色彩が咲き乱れるようなその絵に、ほおっ、と吐息をつき、次の瞬間、わが目を疑いました。というのは、中原淳一の少女たちの靴に、びっくりしたのです。
これ、欲しい、と思ったのです。そこにあるものは、いま私が「欲しいなあー、でも、なかなかないのよね」と思っているイメージの靴に、ひじょうに近かったのです。


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がぜん、興味が高まって、すぐにネットで中原淳一の作品集を購入しました。
そしてもう一冊購入!
はい、それはもちろん、図書館で借りてあまりにもすばらしい本だったので永久保存版とすることにした、「おしゃれ大図鑑」です。
(*というわけでこのコラムにも再登場の可能性大です)

↓ 一冊は図書館に返却予定の本、一冊は購入した本です。
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「プロローグ」で美輪さまは、詩人、寺山修司の「人はみな、自分の人生を演じている」という言葉を引いて、おっしゃいます。
***
そうです、世の中の人はみな、
人生という舞台の上で、自分の役柄を演じているのです。
そしてあなたの役柄は、
ほかでもない、あなた自身が選び取ったもの。
あなたが着ている服は、あなたが選んだ衣装
あなたが話す言葉は、あなたの台詞。
あなたのしぐさは、そのままあなたのキャラクターを表すもの。
***
に……にている。だなんておこがましいにもほどがあるというものですから、言えませんけれど、私は上記の美輪さまの御意見に、ほぼ同調します。目新しい意見ではないのですけれど、やはり真実なので、重みがあります。
特に、
あなたが着ている服は、あなたが選んだ衣装
この言葉とじっくり向き合えば、クローゼット再点検を余儀なくされること、間違いなしでしょう。

白い服。水色の服。「志野はがん」★

来月、ちょっと改まった席に出る予定があります。その席には昔からお付き合いをしている方々が集います。緊張しないでいられる方々です。
何を着ていこうかなー、バッグは? 靴は? マニキュアの色は? などとあれこれ考えているときは、眉間のシワがなくなって美容上好ましいです。
さて、今回もそのようにあれこれ考えていましたら、なぜかとつぜんに、「彼らをびっくりさせたい」という欲望がつきあげてきました。
そして次のように思いました。
「いつも黒い服を着ているひとが、とつぜん清楚な色を着たなら、インパクトがあるだろう。それで、それに合わせて髪をアップにしたりして……うしし」
というわけで、プリンス、はじめて訪れた「ウエアハウス34」の店内にて、私はいつもとは違う色の服に目を泳がせました。
まずはこちら。

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意外と似合うかもしれません!

エポカのものです。
エポカ。公式サイトによれば、そのターゲットは次のような女性です。
常に自分を高めようとする洗練された感覚を持ち、時代の流れに敏感であるが、流れに左右されない確かな自分を持つ大人の女性
……!
……!
どうしよう! 要求高すぎ! むり!

と思ったのは、私だけではないでしょう。けれどこれはあくまでも、エポカさんからの希望的ターゲットであって、これにあてはまらない女は着てはいけない、というわけではないのです(あたりまえ)。
そこで、気を取り直して、次、行きます。
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美しい水色でしょう?
ちょっとスモーキーなかんじが、アンニュイっぽくもあり、それでいてレトロな香りがあります。
そんなところに惹かれました。


しかし、ここでふと上を見上げたら、馴染みのある色が私を誘います。

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ああ……。
なやましすぎます。

ニューウエストの「ウェアハウス34」。
私はエポカの周囲をうろうろして終わってしまいましたが、ちょっと大人の女性に、おすすめしたいショップです。
みなさん、ぜひお出かけくださいね。


★さてお次はウエストの「ハーネス」。
こちらは、ずいぶん大人な雰囲気のセレクトショップです。
店内をふらふらしていましたら、お店の奥、レジカウンターの下に、なにやら「光る」ものを発見、しゃがみこんで見惚れてしまいました。
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彫刻家・画家として活躍する「志野はがん」さんの作品でした。

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こんなに独創的で存在感のあるネックレスを黒いブイネックの胸元なんかにしていたら、素敵でしょうね。
(……と、やはり「黒い服」に戻ってしまう)


最後におまけのバッグ。
フォションのです。こういうバッグはおもいきり明るいのが好きです。ほんとです。
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デトックスプランのこと

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「毒素排出のエステって、また毒素入れてもいいような気分になれるから最高ね。わたくし、身体に悪いものを入れないように入れないように、ってナーバスになるのはエロティックじゃないから嫌い。艶やかな生活こそ毒素排出能力を高めるのだと、信じたいの」(小説『軽井沢夫人』P122より引用)


↑これはようするに、毒素排出のエステ礼賛、とも、解釈できましょう。


「デトックス=解毒」、これがよいことは、もう私も、それからみなさんも重々承知しているのです。私もときおり、……いいえ、たびたびふかーいため息とともに、「ど、毒素、出したい……」とつぶやくことがあります。
そして、
「誰でもいいから私をどこかへ連れて行って、強制的に解毒するような、アレコレをしてくれないものか」
と、あり得ないことを夢見ていたりもします。


と、ここから、次のリンクへつなげようとするのは、いかにも、「頼まれたんでしょ」「広告なんでしょ」とつっこまれそうで、嫌なのですが、そして、実際その通りなのですが、私はこれでも「嫌いなものは×」は守り抜いているつもりですので(くどい)、以下、おすすめできるものとして、ご紹介します。


はい、こちら。

***
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軽井沢で楽しむ、「食」「スパ・トリートメント」・「ウォーキング」・「宿泊」。

森に囲まれた自然の中」で、「日常をリセット」できる快適な滞在型宿泊プラン」、

「デトックス ステイプラン」です!


***

気分だけでもよくなるかも。詳細をご覧になってくださいね。

それにしても↑の「 」太字強調部分、そそられる方が多いでしょうね。
きっと、このプランを終了したそのときには、お肌つやつやで、精神もリフレッシュできているだろうなあ……、と。


じっさい、私は「スパ ザ フォレスト プリンス」のファンです。


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こちらは、「森の中にたたずんでいる……」という泣く子も黙る立地条件もさることながら、一歩足を踏み入れた瞬間から、とっても淑女な気分になれるのでお気に入りなのです。

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贅沢な個室でのトリートメントは、やみつきになるので、ある意味、危険です。

メイクと化粧と素顔◆

私は娘と「似ている!」とあまり言われたことがないのですが、義弟は「化粧をしていないときは(私が)、よく似ている(娘と私が)」と言います。
義弟は、しばしば私のノーメイクを目撃していて、それが娘と似ている、というのです。そして普段、ほかの人たちには「似ている!」と言われないということが何を物語るか、明らかでしょう。はい。使用前使用後がたいへん異なるということです。
……
そんなふうに、ちょっと打ち沈んで、物思いモードになり、化粧に想いを馳せれば、「化粧」にしても「メイク」にしても、言葉というものは、ちゃんと意味をあらわしているのだな、とヘンに感心したりするわけです。化粧の「化」は「化ける」だし「メイク」って「作る」でしょ。


ところで、さいきんお世話になっている鷲田清一さん。
『てつがくを着て、まちを歩こう』(先週もご紹介しました。ご覧下さい)、こちらに寺山修司による化粧論が一部、紹介されていて、これがとても興味深いものでした。

***

一言でいってしまえば、わたしは化粧する女が好きです。そこには、虚構によって現実を乗り切ろうとするエネルギーが感じられます。そしてまた化粧はゲームでもあります。顔を真っ白に塗りつぶした女には「たかが人生じゃないの」というほどの余裕も感じられます。……化粧を、女のナルシシズムのせいだと決めつけてしまったり、プチブル的な贅沢だと批判してしまうのは、本当の意味での女の一生を支える力が、想像力の中にあるのだということを見抜くことを怠った考え方です。(by 寺山修司)

***

著者である鷲田氏はおっしゃいます。

「現代の女性はみんな自分を美しくなくするメイクに傾倒しているのではないか」

たしかに、「そんなにぬりたくらないほうがいいって!」とつい注意してあげたくなる人(10代に多い)もいますから、鷲田氏が、こうおっしゃりたいのもよくわかります。

けれど、ある程度の年齢を超えると、人前に素顔であらわれるほうが、かえって失礼だわ……、と思うようになるわけで、それでいて厚化粧だと、「見てはいけないものを見てしまった」気分にさせるほどに醜いわけですから、いろいろと難しい今日この頃です。


そんななかで、「素顔っぽいくせに、しかもけっこういい年なのに、綺麗」な女優のひとり、というか、そういう女優ではナンバーワンといわれているひとが、ジュリエット・ビノシュです。

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先日、公開されたばかりの映画『夏時間の庭』(公式サイトはこちら)を観てきましたが(銀座テアトルシネマ、満席でした)、その映画でも、メイクの匂いはほとんどなく、でも、とてもよい雰囲気でした。

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このところビノシュはとっても元気、ダンスに挑戦したり、詩画集を出版したり。
もう女優としてだけではなく、「なにものか」になりつつある、そんな気配が濃厚です。
次の言葉からもそれは感じ取れます。

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***
この詩画集は、私の、これまでの仕事や監督たちへの個人的な思いから始まったものですが、こうして思い返すと、世の中の人々に対するメッセージだったような気もします。『みなさん、目を醒まして下さい。命がけで、生きてください。そんな、ささやかな私の叫びを感じていただけたら嬉しいです』***
もっと知りたい方はこちらからどうぞ


私は、ジュリエット・ビノシュが好きです。ファンです。彼女が出ている映画はほとんど観ています。
ずいぶん前の映画ですが、はまり役のファム・ファタールを演じた『ダメージ』、ここでの衣装(ミレナ・カノネロが担当。その衣装が話題となった『マリー・アントワネット』などで活躍)もメイクもヘアスタイルも、好みです。破滅の香りぷんぷんの映画です。そういうのがお好きな方にはおすすめします。

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茶寮でお茶を……★

すこし、疲れていました。
そこで、仕事の打ち合わせの場所にプリンス、ウエストにある「茶寮」saryoを選んでみました。
ショッピングプラザを見たいという先方(M氏)の希望があったから、ちょうどよかったのです。

モダンな和カフェとして有名な神楽坂の「茶寮」を、M氏は知っていました。
軽井沢店は、開放的なお店でくつろげるので、平日ひとりでひっそりと立ち寄ったことがあります。グループのお客さんも、もちろんいるけれど、一人で何かに集中しているようなひとも多いので、「仲間がいる!」という安心感があるのです。

さて、繰り返しますが、当日、私はすこし、疲れていました。
なので、いつもは飲み物だけなのに、おもいきって「白玉あんみつ」のセットをいただくことにしました。
このつながりに「なぜ」、と自分でも思うのです。でも、なんだか予感があったのです……たぶん……「白玉あんみつ」によって、事態が好転するという予感が……。

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いくつもの中から選べる飲み物は「抹茶ラテ(アイス)」。
この組み合わせは大成功だったので、私はすこし疲れていましたが(しつこい)、元気になれそうでした。予感的中です。
そこで、近くを通りかかったお店の方に、めずらしくほほえんで、
「おいしいですね、自然な甘さがとってもいいです」
と声をかけてしまいました。
お店の方はにっこりとなさって、ちょこっと説明をくださいました。

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それによると、国産の小豆(あずき)による餡(あん)は低糖、上部にぼってりと乗っている緑のものは、よもぎ風味の生麩(なまふ)で、その生麩はちょっとあぶってあり、生クリームは植物性のもの…のだそうです。さらに、抹茶は、京都の小山園のものなのだそうです。

抹茶ラテも甘さひかえめで、ほのかな苦味があり、ほんとうに「白玉あんみつ」のベストパートナーだと思いました。

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……あ。
すっかりM氏のことを忘れていました。
彼は仕事の話をしたそうでした。わたしはのんびりと、でもちょっと申し訳なさそうに言いました。
「あともうすこし経てば、『白玉あんみつ&抹茶ラテ』エナジーが全開になるので、しばらくお待ちくださいね」
……
以上、とある五月の午後、軽井沢茶寮物語でした。

*茶寮について、もっと知りたい方はこちらからどうぞ。


エイジングとシワと美と◆

先週、鷲田清一氏の『ちぐはぐな肉体』から山本耀司の言葉などを、ご紹介しましたが、同じ著者による『てつがくを着て、まちを歩こう』のなかにも、山本耀司を発見、目を止める箇所がありました。(単行本は2000年刊行)
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***

以前、ファッション・デザイナーの山本耀司さんにお会いしたとき、どんな女性に惹かれるかという話になった。彼は素肌に男性用のカッターシャツを一枚、無造作にはおった女性か、ほとんど銀色になった髪に葉巻をくわえている老婦人、といっていた」
(カッターシャツには注があって、「襟折りのある男物の長袖シャツ」とある)。

***

ふーん。
素肌に男物のシャツ。これは、20年くらい前に、けっこう流行っていたような気がします。もしかしたら、今も? わかりません。ただ、私は20年くらい前に、あまりにもいろんなところで、それを見聞きしたせいか、なんだか今は恥ずかしい。

さて。
ちょっと前ですが、久々にファッション雑誌を購入しました。
「エル・ジャポン」5月号。


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そのなかに別冊で「エル・プリュス」なるものがあり、そのタイトルがなんと、「40代セレブは美しく進化する!」。タイムリーといえましょう。


記事全般を通して中心となっている思想は、やはり、
「どんなに年齢を重ねても、若いときと変わらない容貌を保つことが正義である」(注:私個人の解釈)
というものでした。

そんななかで、元スーパーモデル、イネスの写真があり、確か52才くらいで、年相応に老けいている、と思いました。それでいて美しい。
↓(ちょうどよい具合に、白いカッターシャツを着用してくれています)

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↓こちらはアップ。けっして「シワひとつない肌」ではありません。

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ところで。
鷲田氏は「若づくり」が嫌い。これほど「ひもじいものはない」と嘆きます。「人生の彩(いろどり)だけでなく綾(あや)も知りはじめた成人女性には、すぐにもその顔に綾をつくりだしてほしいものだ」と。

そして、山本耀司の言葉、「……ほとんど銀色になった髪に葉巻をくわえている老婦人……」に続けておっしゃいます。

そのひとが過ごしてきた時間、そのひとがひとりで送ってきた時間を深く浸透させている顔が、それがいちばんきれいだ。そのひとの過去のすべて、そのひとの存在のすべて、それを愛し、いつくしまないで、なにが愛だろうか

私は、こころから「その通りです!」と叫びたい。けれど、すぐに「だけど!」と続けたい。


まさに「若づくり」に精を出す年齢に突入していて、思想は鷲田氏に同感しても、どうしても「このシワ、すてきでしょう。私の人生の綾が出ているのよ」と、なれないのです。
昨夜も、北欧からやってきた秘薬(「ハリのある肌」にしてくれるというクリーム)を、ぐりぐりと塗りこんで眠りにつきました。


手術したり、よっぽど高級なあれこれの施術を定期的に受けない限り、どんなにクリームをぐりぐり塗りこんでも、加齢が勝ちます。シワが勝ちます。
けれど、なぜ、そんな抵抗を続けるのでしょう。
……。
それは、何もしないでいるのは、さぼっているかんじがして、居心地がよくないからです、私の場合。

ですから、このような努力に対するねぎらいがあると、とても嬉しい。そして、このような努力にかかわらず、それでもあらわれているシワなどに対して、「それも君の人生の綾だ、美しい」という言葉をもらったりしたら、感涙なのです。

***

「シワがいっぱいだってこんなに美しい!」
を知りたい方はぜひ、映画「デュラス、愛の最終章」をご覧ください。

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38歳年下の恋人と過ごした晩年のマルグリット・デュラスを演じている、ジャンヌ・モロー。70歳を超えてなお可愛く、美しいその姿に、私は感動しました。

山本耀司、一着の服◆

***
 若いときっていうのは、大人の着ているものを「崩す」「バランスを変える」「わざとだらしなくする」ことから、服を着はじめます。学生時代まではそういうふうに反抗していて、そして就職となると常識のなかに入る……。
 でも、そうでしょうか。
 一着の服を選ぶってことは生活を選ぶことだから、実はたいへんなことなのに、学生時代は、あれは遊びだったんですか、みたいなクエスチョン・マークがどうしてもつくんです。そうなると、子供の遊びのために一生懸命作ってられないよという心境になることもある。
 一着の服装をするということは、社会に対する自分の意識を表現することですから、これくらいに髪切って、分けて、こういうシャツ着て、ネクタイつけて、スーツを着てってなれば、あの時代のあの選択をやめたんだな、残念ですね、と言うしかない。
 社会にそういう考え方があるということと、そういう考え方のなかにずっといるという、この事実が、闘う相手としてはあまりにもリアルすぎて、あるいは大きすぎて、まいったなあ、というかんじです。
***

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以上、長い引用になりましたが、日本が世界に自慢できるデザイナーの一人、山本耀司の言葉です。


鷲田清一氏の『ちぐはぐな身体』は、哲学的にファッションを見つめる、とても面白い本です。
そのなかで、鷲田氏が山本耀司に会ったときの言葉を書いてくれていて、それが上記引用部分です。
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単行本が出版されたのはおよそ十五年前ですから、そして、モードはうつろうものですから、十五年前と今とでは、ようすもだいぶかわっていますが、芸術家というものは、根っこの部分、変わらないことが多いので、(まどろっこしい言い方になっていますが)、ようするに、山本耀司の言葉の根っこにある部分は、今もきっと変わっていないと思うのです。

私が共鳴した部分、太字にしてあります。
そして繰り返しますが、山本耀司の言うように、服は「生活を選ぶこと」であり、「社会に対する自分の意識を表現すること」なのです。

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(↑「YOHJI YAMAMOTO―M´EMOIRE DE LA MODE」 )


私としては、服は「私をこういうふうに見てね」という周囲への強烈なアピールだと思います。
だからピンヒールに露出度の高いワンピースを着て、思いきり女として見られた時、「いやらしいわっ」と言うのはいけないと思うし、スニーカーにタートルネックのセーターを着て、ぜんぜん女として意識されなかった時、「ひどいわっ」と言ってはいけないと思っています。


山本耀司、最新のニュースはこちらでどうぞ。
フェラガモとのコラボレーションが話題のようです。


オフィシャルサイトはこちらです。


「都市とモードのビデオノート」、こちらもおすすめです。ヴィム・ヴェンダース監督と山本耀司の出会いによって生まれたドキュメンタリーです。
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ロイヤルコペンハーゲンで……★

食器をよく割る人、というのがいます。
生来「ガサツ」な性格か、あるいは、「うわの空状態になることが多い」性質か、いずれかでしょう。
私は両方を多分に兼ね備えているため、よく割ります。割る時って、「あ」という、気の抜けた言葉しか出てこないものです。
……。

さて、そんなですから、「自分へのご褒美」(なじめない言葉ですが敢えて使ってみました)として、高価な食器を買うなどとは思いもしません。
けれど、美しいものを見るのは大好きですから、プリンスのロイヤル・コペンハーゲンは、ほとんど美術館みたいに、好きです。
 
ロイヤル・コペンハーゲンはその名があらわす通り、「王立コペンハーゲン磁器製作所」(1779年)が起源です。

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ドイツのマイセンにはじまったヨーロッパ陶磁器ブーム、これをリードすべく、デンマークは力を入れます。
以後百年以上、王室専用の釜として、美しい磁器を生み出すのです。

1868年に民間の手に移り、現在に至ります。

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この、キュートなロゴ。
王冠は「デンマーク王室御用達」を、三本の波は「デンマークを囲む三つの海峡」をあらわしています。(三つの海峡とはオアスン、ストアベルト、リレベルト)。

今は、インターネットがありますから、ロイヤルコペンハーゲンのあれこれも、ネットで購入可能です。
けれど、やはり、なんたってロイヤルですから、ネットではなく、実際に手にしてみて、実際に目にして、購入したいと、私は思います。
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プリンスのロイヤルコペンハーゲンの店内をうっとりとさまよい歩きながら、つくづく、そんなふうに思いました。


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ほんとうに、いつ訪れても、立ち去りがたい、あの空気感。
買いもしないのに、うろうろして迷惑だなんて、おっしゃらないでください。
自分のためではなく、「誰かのため」に購入することはあるのですから。
そうです。
「ガサツ」でもなく「うわの空」でもない、誰かのために。

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↓今回、一番のお気に入り。私に、「買って」と訴えていました。オーナメントかな。

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ご興味ある方はこちらをどうぞ。ロイヤルコペンハーゲン ジャパンのサイトです。



山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

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