「窯元陶庵」で体験したこと★

「陶芸色絵付け」、旅先でこういうのを必ず体験する人と、そうでない人とがいますが、私は後者です。
それでも、家族の誰かが「やりたい!」と言えば、一緒に体験することになりますし、過去に、大好きな恋人などが希望すれば、にこにことつき合ったことも、あります。

さて、先日はプリンス、ウエストにある「窯元陶庵」に行って来ました。

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そこで目を惹かれたのが、白くて薄い食器。「これに彩色するなら、いいかも」と思ってしまうような、そんなかんじのものでした。
説明を読めば、「ニューボン」なる文字が。
これは何でしょう?

こたえ。

英国発祥の高級感のある磁器ボンチャイナ。この質感にできるだけ近づけ、ボンチャイナよりも安価にすることで市場の拡大を狙ったもの、これがニューボンだそうです(にわか勉強)。
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強度がボンチャイナよりもあるので、日常使いに適しています。それにとっても軽いのです。ばんばん使えそうです。
そして、「窯元陶庵」は「日本初のニューボン陶磁粘土を使用した絵付け体験教室」なのです!

絵付けをする場所は、緑の中庭に面していて、気持の良い空間です。

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30分で焼きあがるので、ちょっとお買い物、あるいは食事などしていればあっという間です。

ところで。
お店に、このような写真があり ↓ 、私は大変驚きました。


フランス絵画界の巨匠ミッシェル・アンリも楽しんだという風景です。
あのミッシェル・アンリです! 
作品が明るく幸福感に満ちていることから「幸福の画家」と呼ばれている画家です。

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こちらは、私が個人的に大好きなベティちゃん(フルネームは「ベティ・ブープ」ってご存知でした?)のマグカップ。色の組み合わせに燃えられそうな形です。

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陶芸色絵付け。
「最近」の記憶は、おそらく5年くらい前。
某所で娘がやりました。
隣で私は補佐したのですが、その「作品」がこちら。
小物入れなのですが、なぜか、いま、フタしか見つかりません。
これをじっと見ながら、私は思いました。

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こういうのって、「思い出づくり」とか「旅の記念に」といわれるけど、(そして私はその言葉があまり好きではないけれど)、確かにそうだな、と。
なぜなら、このカラフルでいっぱいはみ出したフタを眺めながら、私は、あの日あのときの情景をどっと浴びていたからです。
暑かった室内、娘の息づかい、そして、なにより幼いなりに配色をあれこれと考えて、絵の具をみつめるそのエネルギッシュな瞳。
さらに、その側で、私はその時を、確かに楽しんでいたことや、あの年はあんなことがあって、ちょっと辛い夏だったな、とか……、もう、こうなってくると止まりません。
ですから、半分自分に言い聞かせますが、たかが、「陶芸色絵付け」などとあなどることは、けっして許されないのです。



山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

軽井沢・プリンスショッピングプラザ
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