ネックレスの、後ろ姿◆

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ファッション誌は、はやくも(でもないのかな)クリスマス・プレゼントの特集を組み始めて、きらびやかなジュエリー、アクセサリーが誌面を踊っています。

私自身は、記憶のあるかぎり、クリスマスプレゼントにジュエリーをリクエストした経験がありません。
20代も半ばになると、クリスマスイベントそのものについての根本的な疑問が大きく勝って、イベントそのものをするのをやめています。
ここで、その理屈をこねくりまわすのはしませんが、それでもやはり華やかな空気は好きですから、ファッション誌のきらびやかなアクセサリーを、うっとりと眺めます。
そして、先日、あることに気づいたのです。

アクセサリーのなかで、今は首周りのもの……ネックレスに興味があるのですが、ちょっと「いいな」と思ったものがあるとします。すると、私はすぐにそのネックレスの「留め金」部分をチェックしているのでした。
そうなのです。
このところ何年かずっと髪を長くしていて、アップにすることはほとんどなかったので、どんなネックレスをしても、留め金部分は外から見えない。

だからそれほど気にしなかった。

ところが、髪をショートにしてから、留め金が気になってしょうがないのです。
そして意識しだすと、後ろの姿、留め金部分の重要さときたら、驚くほどです。

街を歩いていても、さまざまな女性たちの留め金チェックばかりしてしまいます。
そんな話を、とある殿方にしたところ、ふふん、と鼻で笑われてしまいました。

長い髪をかきあげたとき、かきあげられたときを意識していなかっただなんて、あなたも、まだまだだね。

だって。

おしゃれはどこまでいっても完成形などないのです。
だから楽しいといえば楽しいのでしょうけれど、いまは、その難しさのほうを痛感しています。




山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

軽井沢・プリンスショッピングプラザ
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