ファッションの名言◆

「いろんな色を使えば使うほど女たちは醜くなる」と言ったシャネル、「過剰のなかから、洗練は生まれない」と言ったヴァレンティノ。
シンプルのなかに美がある、とふたりとも言っているわけです。
みがひきしまるような言葉です。

ファッションにまつわる名言は数限りなくありますが、「ヴォーグ・ニッポン12月号」に、興味深い記事がありました。

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オックスフォード大学出版局が出版する「引用句辞典」(70年の伝統あり)というものがあります。

ここには、孔子からオスカー・ワイルドなど偉人たちの名言が収録されていて、私はこれをとても欲しいと今思っている(翻訳されたものはないのでしょうか)のですが、今回発売された最新刊にはオバマ大統領の言葉など2万の引用句が追加されたそうです。

そしてその2万のうちのひとつに、パリス・ヒルトンの「名言」も入っているのだそうです。

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「演技やモデルの才能はなくとも、ただ目立つことを貫くという新しい形の努力でセレブとなったパリス・ヒルトン」(注:私が言っているのではありません。記事の引用です)

この彼女の名言とは、次の通り。

「どこへ行くときでも可愛く着飾って。人生は短すぎて全部なんて着られないんだから」

……。


「Dress cute wherever you go」部分には賛成なのですが、後半部分は、多くの種類のものをね! といった意味にもとれて、反対です。


「そりゃああなたは、それで生きているわけですからよいのでしょうけれども、そうでないひとたちは、いかに良質なものを丁寧に着るか、といったことのほうが絶対たいせつなのだと思います」
と意見したくなってしまいます。……こういうのって正論っぽくってすごくつまらない、と我ながら思います。

それにしてもパリス・ヒルトンの「名言」、シャネルやヴァレンティノの言葉と比べるとぜんぜん身がひきしまらないのがポイントです。


それでもなんとなく「あー、そうだよね!」と「うっかり」思わせる匂いもあり、それが名言の条件ということなのでしょうか。

そんなわけで、2009年ラストのコラムとなりました。


私のサイトを経由して、メールをくださった読者のみなさま。とっても嬉しかったです。ありがとうございました。

フランフランのお気に入り★

インセンス、お香が好きです。
私は「匂い」「臭い」がとっても気になる性質で、だから部屋の匂いも気になります。だからしばしばお香をたいているのです。
このお香、品物によっては、ただ単に「けむい」だけになってしまうので要注意。

色々と試してみましたが、このところはプリンス、ニューイーストの「フランフランバザー」にある「TRUE MIND」シリーズが気に入っています。
円錐形をしていて、扱いが簡単なのも好き。
今回は「ローズ」「ダークチェリー」「ストロベリー&バニラ」を購入しました。

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……なにか、甘いものを欲していた時間だったのでしょうか。

それから冬といえば「シチュー」です。
我が家ではシチューとは呼べないけれど、それっぽいものをよく作ります。
ミネストローネみたいなもの。ポトフみたいなもの。
そういうのもよく作ります。
そして、このところ続けて、(ぼんやりしているシーズンなのか)、そういったものを出すときに使っていたお皿を割ってしまっています。

よいのがあったら買おう、くらいの気持ちでいたのですが、よいものどころではなく、「イメージそのもの!」のものが、すっごく安価であったので、迷わず購入してまいりました。

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お値段のことを言うのは抵抗がありますが、私はそそっかしくて、ちょくちょく食器を割るのであんまり高価なものは使わないのです。

なにより、「割らないように~」とびくびくしている自分に苛つくからです。
精神衛生上よくないので、気軽に使えるものばかりが、我が家の食器棚に並んでいます。
それにしても、この白い食器、2種類 ↑ は、ほんとうに気に入りました。
おかげで、シチューみたいなもの。ミネストローネみたいなもの。ポトフみたいなもの。の登場回数が、ますます増えています。

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★★★今日はクリスマス★★★
プリンス、「ハートフル クリスマス」最終日です。
チェックしてから、お出かけくださいね。

モードなダウン◆

以前に、このコラムで「とっても暖かで軽くてスタイリッシュでエレガントなダウンコート」が欲しい、と書きましたら、知人から
「あなたはダウンを否定していたのに、贈答用ハムみたいだとか、エロティシズム消滅衣服だとか、『軽井沢夫人』のなかでも名言しているのに、宗旨替えしたの?!」
といったメールが届きました。
そうなのです。
好みは変わるものですから、変わったのです。
けれど、「スタイリッシュでエレガント」という思想的キーワードは生きているわけですから。

また、別の数名の知人から、
「こんなダウンならイメージでは……」
というメールもいただきました。
お馴染みの有名ブランドのものがたくさんで、しかもすべて6桁なので、そういった意味でもふらふらに。

そのなかに、渡辺淳弥のものがありました。
そういえばヴォーグ・ニッポン12月号にインタビューがあったな、とひっぱり出してみました。

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2009年秋冬コレクションのテーマが「ダウン」。
とってもモードなすばらしい作品です。

そして、先日、新宿伊勢丹を徘徊した際に、試着しようとしたのです。
けれど、そのすばらしくモードな作品を目の当たりにすると、試着さえもがはばかられると言いましょうか、なんともいえないオーラがあるのです。

つまり、このモードなダウンが似合うのは、めちゃくちゃ頭部が小さくて、首がほっそりと長くて、上半身の厚みが(胸も含めて)薄い、そういうスタイルを持ち合わせたひとなのです。


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さて、ヴォーグで、デザイナー渡辺淳弥は「なぜダウンだったのでしょう?」という質問に、「特別な理由はなく、なんとなく」と答えています。
ただ、「ダウンは、何かずっと引っかかっていたテーマ」で、そしてダウンと取り組むことは、「いわゆるパターンのようなものとも一切関係がなく、あるのは鳥の羽と空気だけですから。皆で羽根まみれになりながら、いつもとまったく違う物作りをしてとても面白い作業でした」と言っています。

たしかに、ものづくりの楽しさがとっても感じられるデザインでした。


(参)「ヴォーグ・ニッポン12月号」

いちばん好きなイルミネイション★

「軽井沢のイルミネイションが、感動的なほどまでに美しいのは、暗さとの対比かつ澄んだ空気にその理由がございましょう。
軽井沢の夜は、それこそ墨を流したよう。
そこに、たとえば、ひかえめなイルミネイションで彩られた小さな教会などがぽつんとあったりしますと、信者ではないわたくしでも、ついつい柔らかな胸の前で十字をきってしまいそうになるのでございます。
美しいものには、人を錯乱させるエナジーがあることの証明といえましょう」
(『軽井沢夫人』講談社刊より)

というわけで、軽井沢、もっともイルミネイションが美しいシーズンを迎えています。
ニューウエストのプリンスカレーハウス前のがかわいいよ、という噂がどこからか流れてまいります。
なので、娘とふたりで出かけてまいりました。

頬を切るような冷たい空気のなかで撮影を。

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そのあと、ぜったい寄らないではいられない(娘が)「ジャングル」へ行きました。

それから、ちょっと前に偶然通りかかり、その美しさに思わず声がもれたイルミネイション・スポットへ。

プリンスホテルイースト入り口の並木です。
なぜかとても惹かれるのです。
いつまでもそこにいたいようにも思うし、その先にはなにかとても心躍ることがありそうな予感もするのです。

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↓ こちらはおまけ。矢ケ崎公園のイルミネイション。

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***
そのほかにもたくさん。
あちらこちらが美しく彩られています。
ウインターデコレーション、こちらからご覧下さい。
私の写真より、ずっと綺麗にイルミネイションが紹介されています。

スーパーミニでいっぱいの夏◆

雪が降って、これから冬本番……と気合を入れる今日この頃だというのに、ファッションの世界はもう夏のことを言っているのです。
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ヴォーグニッポン1月号を、ようやく(気持の余裕がなくそのままにしておいた)ぱらぱらっと眺めていましたら、春夏コレクションのあれこれが掲載されていました。

気になったのは、ミウッチャ・プラダが言ったというひとこと。

オプティミズムを選んだのよ!」

これは海プリントやシャンデリアを模したクリスタルガラスをあしらった作品についての質問への返答で、この記事を書いたSarah Mowerは続けて次のように書いています。

「彼女の言葉はコレクションの内容を直接説明してはいない。だが、彼女は春夏シーズン全体の最も重要な特徴をその一言で表していた」

さらに続けて、

時代は厳しいけれど、ファッション界の人間はその話題とはとっくに縁を切っている。ファッションは私たちを楽しませるためにあるのだもの。そう、春夏は、オプティミズムでいきましょう!」

……。
楽観的な人間がもてはやされる季節が来るということなのでしょうか。
私から見ればみなさん充分楽観的なように思えるのですが。
なんだか冬が終わるのが恐い気分です。

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ところで、「オプティミズムな春夏」はどうやらスーパーミニが流行るようです。
そして足もとにはソックス。
……。
嫌な予感が。
つまり、流行だけを追って、結局「ヘン」なかっこをした人々で街がいっぱいになるのでは、という予感です。

まず、スーパーミニを履いてゆるされるのは、いくつかの条件を満たしたほんの一握りの人々。
しかも年齢があがればあがるほどに、ゆるされる率は少なくなります。
当然です。

さらに! ソックス……。

これはかなり難しいです。
サンダルやパンプスを合わせるのですけれども、これをクールにキュートにシックに、こなせる人がどれだけいることでしょうか。

……と、だんだんイジワルになってゆく自分自身にはっとして、自戒する真冬の午後でした。

「デリ」のカラフルワールド★

プリンス、ニューウエストの「デリ」は、世界中のお菓子、食品が、みっちりと詰まった、カラフル空間です。


世のなかは、全体的にどんより停滞ムードのようですが、そんななかでも、いいえ、だからこそ、クリスマスイベントで、そのようなムードを吹き飛ばす必要性がありましょう。

信仰云々は別のところで発言することにして、ここは世のなかの流れに乗ることにします。

というわけで、「デリ」で、私も、停滞ムードを吹き飛ばすような「とってもクリスマスなお菓子」を探してきました。

まずは、これから↓

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ツリーのデコレーションになります。
こういうのがツリーにあったりすると、がぜん、ツリーの価値が高まるというか、ツリーとしては毎日熱い視線を浴びること確実です。

次はこちら↓

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ベルギーからの「チョコチップス、クリスマス限定パッケージ」です。「サンタの誘惑……」という名前をつけたくなるような、おちゃめなサンタの表情に惹かれて選びました。

そのほかにも、明るい気分になれるようなパッケージのお菓子がたくさん。
ヨーロッパの空港を突如として思い出したりして、悪くない気分で店内をまわります。


お店の方に人気の商品を尋ねると、クリスマスシーズンとのつながりで、このコーナーへ導かれました。↓

ああ。手作りのブラウニー!

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一度作ったことがありますが、一緒に食する人数が多いときに作ることをお勧めします。
2人、3人では少なすぎます。手作りの美味しさが、食べ過ぎを招き、たいへんなことに。


そしてラストはこちら。


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キャラメル味のポップコーン。「いけないわ、いけない……」と思いつつも、「デリ」のレジ前にいつもある、これを購入し、「とまらない、とまらない」と言いながら食べてしまうのは私です。

今回も、購入してしまいました。
偶然、我が家に三人の小学生がいましたので、彼らにもすこしあげることに。
そして、すっごくやらせっぽい写真をとってみました。↓
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ブーツ観察◆

12月になり、軽井沢は朝は氷点下、早朝、車をあたためてからでないと、どうにもこうにもならない季節となりました。

ちょっと前に、ここのコラムで私は、今年の冬はブーツではなくて、シアーなストッキングにパンプスかしらね、みたいなことを書いたような記憶があります。


けれど、そのときは、まだそう言うのが可能だったのです。
気温が、可能だったのです。
いまや、無理です。


このところ、銀座近辺に出かける機会が立て続けにあったのですが、そのあたりを歩くぶんには、シアーなストッキング&パンプスが可能なのです。
けれど、東京在住の知人は、「うそ。じゅうぶん、寒いよ」と言っていました。自分の身体が知らず知らずのうちに寒冷地仕様になっていたことを悟った瞬間でした。

……さて。
いま、私は、真冬の旅行をたくらんでいます。たくさん歩こうと思います。となると、欲しくなるものがあります。

「とっても暖かで軽くてスタイリッシュでエレガントなダウンコート」と「がんがん歩けて(ローヒール)、スタイリッシュでエレガントなロング(ニーハイがベスト)ブーツ」
このふたつです。

ダウンについては次週にしましょう。まだ、ちゃんと物色していないので。

ブーツはここひと月くらい、ちょっと時間があると、探しているのです。

けれど、ないのです。

ローヒールで歩きやすそうなものは、ありますけれど、エレガントさに欠けます。

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スタイリッシュなものはありますけれど、20分以上歩いてはいけないような、すがたかたちをしています。


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こうなってくると、街を行く人々の足もとばかりに目がいってしまいます。

そして、発見した事実は、「ブーツでエレガント」の難しさなのでした。

不思議です、どうしてなのでしょう。上半身はわりとエレガントでも、足もとに目をやると、膝下までのブーツが「どてっ」とした印象の人が多いのです。さらに、どれもこれも同じようにみえてしまう、たいへん没個性。


もしかしたら、ブーツって、脚の形を隠してくれるとかそういうふうにとらえる人が多いようだけれど、逆なのかもしれない、そんなふうに思う12月のはじまりでした。

新蕎麦の「さく庵」でやさしい気分★

「新蕎麦」の香りに誘われて、プリンス、ニューウエストの「さく庵」に遊びにゆきました。
「新蕎麦」って、そのまんまの意味なのですよね、新米と一緒で、収穫したての蕎麦の実で作った蕎麦粉を使った、お蕎麦。香りがよいので、このシーズン、群がる人々が増えるという……。

「さく庵」、とっても、あたたかなお店です。お店の方々が、そしてお店のぜんたいの雰囲気が。

そして、この「さく庵」、信州佐久穂町の蕎麦粉を使用した、正真正銘の信州蕎麦のお店なのです。

私、それほどおなかがすいていなかったのです。
だから、同行の年下の殿方はお蕎麦でも、私は甘味で……と、年齢を忘れてちょっとかわいいモードでゆこうかと。↓

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それでも、殿方の前に、彩りのよいてんぷらと、そして新蕎麦が運ばれてきたら、そのみずみずしい姿と、その香りに、つい、「ちょっとください」と、蕎麦のみをつまみました。

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いじきたないというかはしたないというか。

……。

その結果。

あー、おいしい。やっぱり、私もざるそば、いただきます。

ということになりました。↓

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今日はたいへん重大なことを学びました。

それは、お蕎麦も「べつばら」なのだ、ということです。

ケーキよりも「べつばら」度は高いかもしれません、ケーキがそれほど好きではない私の場合。
それにしても、この写真は、プリンスのHP上の「さく庵」に掲載されている写真。↓

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ああ。
私が撮ったのものとは、ぜんぜん、食欲そそり度が違います。

さいごに、これは、お蕎麦が来る前の情景。

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蕎麦茶が美味しくて、からだじゅうにしみいるようで、このやさしい感覚を記念に、と撮影したものです。
やさしい感覚って、一日のうちに、そうあるものではないのです。私の場合。




山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

軽井沢・プリンスショッピングプラザ
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公式HP