くるみもなか物語★

個人的な用事で、プリンス、ウエストの「しらかば」に行ってまいりました。
なので、本日はその物語です。

とあるところに住む、73歳の元気な女性から、電話がありました。

「昨日、近くに住む姉と会ったのだけど、ふたりで、『ああ! あの“くるみもなか”が食べたい!』って言っていたの。忙しいかとも思うんだけど、買ってきて送ってくれる?
そうそう! なるべく製造年月日が新しいのをお願いね。いろいろ試してきて、新しいのが私たちは好きなの!」

そういえば73歳の元気な女性は、軽井沢に来るたびに、必ず、そう、どんなに時間がなくても必ず、白樺堂の「くるみ最中」を買って帰るのでした。


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私は「しらかば」でお店の方に尋ねました。

「とある、くるみ最中ファンから一番新しいのがいい、って頼まれて来たのですが、どれでしょうか」

すると、お店の方はおっしゃいました。若い女性の方でした。
「お時間数分いただけますか?」
「はい」
私はいったい何が起るのかと、中の様子を覗き込みました。
そしてびっくり。
なんと、彼女は、ばら売りのものをひとつづつ、年月日を確かめながら箱に詰めてくださっていたのです。
感激しました。
箱詰めのものはちゃんとあるのに。そのなかから一番新しいのを渡しちゃえば済むことなのに!
(注:混雑時などに、このコラムを引き合いに、ワガママを言ったりしてはいけません、と思います)

私はお店の方にお礼を述べ、「写真を撮らせてください」と図々しいお願いをしました。


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家に戻り、73歳の元気な女性に電話をし、
「そういうわけでフレッシュなくるみ最中が行くでしょう」
と言いました。彼女はたいへんよろこびましたとさ。

以上、ある日の「くるみ最中」物語でした。

                                                             

そして今、白樺堂のサイトを見てびっくり。くるみ最中は白樺堂の商品の中でも、もっとも歴史ある商品なのだそうです。50年の歴史があるのだそうです。
「白餡をコトコト、何時間もかけて、飴色になるまで煮込んだのが、おいしさの秘訣。昔ながらのこってり餡に、くるみ入りです。かなり甘いですが、古風ななつかしの味です」
と、ありました。



山口路子プロフィール写真

山口路子

プロフィール
作家。2001年に東京から軽井沢に移住。
著書に『彼女はなぜ愛され、描かれたのか』(すばる舎)などのエッセイ集、小説『女神<ミューズ>』(マガジンハウス)など。軽井沢を舞台にした作品としては、小説『軽井沢夫人』(講談社)がある。
公式ブログ*山口路子ワールド*
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/

軽井沢・プリンスショッピングプラザ
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